ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル
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カレントテラピー 37-2 サンプル
12 Current Therapy 2019 Vol.37 No.2124が国でも導入されつつあり,患者のQOLを鑑みても保険適用を実現し,更なる普及および安定した実施を維持する必要があると考えられた.しかし,わが国で実施されている本方法で用いられている色素,RIは,適応外使用であったり,あるいは未承認薬のため,改めて効果(同定率)と安全性について,先進医療に引き続き,臨床確認試験を行うに至った.2010年10月末の最終登録数は,予想をはるかに上回る10,000例を超え,全体の同定率は98.4%,方法別では色素法単独97.6%,RI法単独97.1%,色素・RI併用99.0%と,欧米論文から設定した同定率93%を上回った.また,色素によるgradeⅢ,Ⅳの重篤な副作用は,全く認められず,gradeⅠに相当する一過性の皮疹を3例(0.02%)認めるのみであった.その結果,2009年9月に色素とRIの保険適用拡大に関する薬事承認が得られ,翌年の2010年4月に,SLN生検の手技も,保険適用となった.Ⅵ おわりに本試験のデータベースは,当時世界的に標準治療の一環として行われていたSLN生検を,一日も早く保険診療として日本の乳癌患者にも適応したいという乳腺専門医の熱意に後押しされるように,10,000例を超えるデータが急速に集められた.その結果は,わが国においてSLN生検で用いられている色素とRIの効果(同定率)と安全性は,欧米で標準的に用いられている検査手技と同等以上の結果であった7).そこで,本結果をもって,SLN生検に対する保険収載がなされた.さらに,本試験のデータベースを用いてSLN生検において当時いまだ議論の多かった術前化学療法後症例に対する施行8)~10),DCISに対する適応11)などについても検討する予定である.現在,日本乳癌学会が行っている乳癌登録データベースは,外科専門医を取得するために乳癌手術症例を中心に登録されているNational Clinical Database(NCD)データベースの上に構築されている.年間9万例を超えると推定されている乳癌罹患数の約9割に相当する約8万例が登録されており,わが国の臓器別癌登録としては,最大規模のものである.今後も,このようなデータベースの活用を通じて,医療の質の向上や新規医療技術の保険適用が可能となる先鞭をつけた事例といえる.参考文献1)Giuliano AE, Jones RC, Brennan M, et al:Sentinel lymphadenectomyin breast cancer. J Clin Oncol 15:2345-2350, 19972)Cox CE, Pendas S, Cox JM, et al:Guidelines for sentinelnode biopsy and lymphatic mapping of patients with breastcancer. Ann Surg 227:645-653, 19983)Cody HS 3rd, Fey J, Akhurst T, et al:Complementarity ofblue dye and isotope in sentinel node localization for breastcancer:univariate and multivariate analysis of 966 procedures.Ann Surg Oncol 8:13-19, 20014)Krag DN, Anderson SJ, Julian TB, et al;National SurgicalAdjuvant Breast and Bowel Project:Technical outcomes ofsentinel -lymph -node resection and conventional axillary -lymph-node dissection in patients with clinically node-negativebreast cancer:results from the NSABP B -32 randomisedphase Ⅲ trial. Lancet Oncol 8:881-888, 20075)Veronesi U, Paganelli G, Viale G, et al:A randomized comparisonof sentinel-node biopsy with routine axillary dissectionin breast cancer. N Engl J Med 349:546-553, 20036)中村清吾, 津川浩一郎,岩田広治ほか:センチネルリンパ節生検に対する多施設共同臨床確認試験における安全性と同定率に関する報告.乳癌の臨 24:271-277, 20097)Veronesi U, Paganelli G, Viale G, et al:Sentinel-lymph-nodebiopsy as a staging procedure in breast cancer:update of arandomized controlled study. Lancet Oncol 7:983-990, 20068)Mamounas EP, Brown A, Anderson S, et al:Sentinel nodebiopsy after neoadjuvant chemotherapy in breast cancer:results from National Surgical Adjuvant Breast and BowelProject Protocol B-27. J Clin Oncol 23:2694-2702, 20059)Xing Y, Foy M, Cox DD, et al:Meta -analysis of sentinellymph node biopsy after preoperative chemotherapy inpatients with breast cancer. Br J Surg 93:539-546, 200610)Enokido K, Watanabe C, Nakamura S, et al:Sentinel LymphNode Biopsy After Neoadjuvant Chemotherapy in PatientsWith an Initial Diagnosis of Cytology-Proven Lymph Node-Positive Breast Cancer. Clin Breast Cancer 16:299-304, 201611)中村清吾:全国アンケート調査結果からみた非浸潤性乳管癌の診断と治療―現状と今後の課題―.乳癌の臨 22:95-100, 2007