ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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概要

カレントテラピー 37-2 サンプル

76 Current Therapy 2019 Vol.37 No.2188て実施・評価が求められる類型のものがいくつかあった.これらは当面先進医療Aとして継続が認められたものの,一定期間内に先進医療Bとしての実施計画・実施体制を準備し再申請を行うことが求められることとなり,その後,適宜対応がなされている.なお,先進医療制度は,本質的には薬事の制度ではなく保険の制度である.先進医療制度はあくまで新規医療技術に対して評価療養としての実施が可能であるか否かを左右するものであって,その医療技術の薬機法上の承認の可否等の扱いを決めるものではない.また,先進医療AないしBとして実施されている医療技術は,各々程度の差はあるものの,あくまで評価段階の技術であることにも注意が必要である.以上に加え,例外的な扱いとなるが,先進医療Bのがん領域の医療技術の一部を対象として上記と異なる仕組みが2013年より運用されており,先進医療技術審査部会における評価とそれに伴う厚生労働省医政局研究開発振興課が担う事務局としての役割の一部を,外部医療機関にて行う仕組みが設けられている.当該外部医療機関は公募を経て独立行政法人国立がん研究センターへ委託されており,先進医療評価会議は厚生労働大臣の指名による当該外部機関外の有識者から構成されている.対象となる医療技術は,具体的には,「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと判断された未承認薬・適応外薬を用いるがん領域の医療技術で,先進医療会議において認められたものである.この医療技術に関しては,先進医療技術審査部会における技術的妥当性・試験実施計画等の審査等を外部医療機関における評価(正確には,外部医療機関に設けられた先進医療評価会議という組織による評価)によって代替するという仕組みである.ただし,この条件を満たす医療技術に係わる届出書が提出できる医療機関(臨床試験に参加する医療機関)は,①臨床研究中核病院,早期・探索的臨床試験拠点,②特定機能病院,③都道府県がん診療連携拠点病院のいずれかである必要がある(③は適応外薬を用いる医療技術に限る).そのため,この区分で評価される先進医療Bは現状では少数に留まっている.Ⅱ 先進医療制度の新規医療技術開発における意義新規医療技術の開発は,疾患領域,当該医療技術の特性により非常に多様である.医薬品,医療機器,再生医療等製品等,医療技術の区分を絞れば既存の制度・規制のなかで当該医療技術を開発するための道筋はある程度体系化することが可能である.しかしながら,新規性の高い医療技術の場合,上記の区分にはうまく当てはまらないものもある.また,制度上は既存の薬機法等の枠組みの下での開発が必要な医療技術であっても,対象とする疾患での診療実態によっては製薬企業等による開発だけでは新規医療技術の開発・評価がスムーズに進まないケースもある.後者の一例としてがん領域での治療開発が挙げられる.がん領域の治療開発の特徴として,単一薬剤のみで臨床的に十分な治療成績を得ることは困難であることが多く,集学的治療法,すなわち既存薬との併用療法,放射線治療や外科手術との組み合わせによる治療としての開発が必要となる.また,放射線治療単独,外科手術単独の治療であっても,既存の治療法をより良いものに進化させてゆき,成績を向上させる治療・より患者の負担が軽い治療を見出すための臨床試験が多く実施されているという特徴もある.すなわち,通常の企業主導の治療開発,あるいは,薬機法等の枠組みのなかに含まれない医療技術の評価を行える制度上の枠組みが必要とされる状況にある.本邦では,移植医療や遺伝子治療等の一部の例外はあるものの,人を対象とする医学系研究に関する倫理指針等の各種指針に従い,新たな医療技術の研究開発を基本的に自由に行うことができる.これは,薬機法の対象となる医薬品(候補)を用いた研究開発でも同様であって,薬事承認申請を念頭に置いていないのであれば「治験届」を提出することなく,手続き上の負担は軽くはないが臨床研究法に従えば研究開発に着手できる状況となっている.すなわち,その是非はさておき,単に薬物療法のみならず薬物療法をその一部として含むより広い範囲の新しい医