ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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概要

カレントテラピー 37-2 サンプル

Current Therapy 2019 Vol.37 No.2 75187は,該当部分を保険外併用療養費として医療保険で給付することを意味する.なお,自己負担部分については,患者の自己負担や研究費による負担が主であるが,その負担方法についてはケースバイケースであり,患者の自己負担となる場合は民間医療保険の先進医療特約によりカバーされることもある.先進医療にはAとBの区分があり,そのいずれに該当するかの振り分けは先進医療会議においてなされる.両者の違いは,(行政上の厳密な定義ではないが)おおよそ実施経験の蓄積あるいは観察研究によって評価し得ると見なされる医療技術と,臨床試験による評価が必要と見なされる医療技術との違いである.なお,先進医療Bに関しては,前身の制度である高度医療評価制度の対象が薬事法(当時)上未承認・適応外の医薬品・医療機器を含む医療技術であったのに対して,2012年10月の旧先進医療制度との一本化時(現行制度への移行時)に対象が変わっている.現行制度下では,必ずしも薬機法の対象とならない医療技術も含むこととなっている.詳細は厚生労働省のwebサイトに公開されている情報・通知等1),2)を参照して頂きたいが,①薬機法上未承認・適応外の医薬品,医療機器を用いるもの(体外診断薬・検査薬等の使用を伴う医療技術で人体への影響がきわめて小さいものを除く),および,②薬機法上の承認を得たもの,あるいは,薬機法の対象にならないもののうち「当該医療技術の安全性,有効性等に鑑み,その実施に係わり,実施環境,技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要すると判断されるもの」が先進医療B,これ以外が先進医療Aとなる.先進医療AとBとでは制度の運用にも違いがある.先進医療Aでは,先進医療としての実施を申請し承認を得た医療機関毎に,当該医療技術の実施状況の報告が求められている.一方,先進医療Bでは,この報告に加え臨床試験としての試験全体での評価を行うこととなる.また,実施する医療機関側の満たすべき条件としては,「厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準」(平成20年3月27日厚生労働省告示第129号,現在は「厚生労働大臣の定める先進医療及び患者申出療養並びに施設基準」)に定められているが,特に先進医療Bに関しては,①特定機能病院,または緊急時の対応が可能な体制・医療安全対策に必要な体制を有する保険医療機関であること,②「臨床研究に関する倫理指針」等医療技術に応じた指針に適合する実施体制を有すること,③実施される医療技術で使用する医薬品・医療機器の管理体制,入手方法等が適切であること,④実施医療機関の開設者が実施責任医師・研究内容等を把握できる体制を確保すること,⑤臨床研究のデータの信頼性確保のための体制の確保に努めていること,といった条件が届出にあたって求められている.先進医療として実施が認められるか否かの評価のプロセスは以下の通りである.まず,先進医療Aでは,申請後に医療技術の内容,申請医療機関の実施体制,当該医療技術実施のための条件等について先進医療会議の構成員による評価がなされ,先進医療会議に諮られ承認された後,中央社会保険医療協議会への報告を経て,厚生労働大臣からの告示がなされる.この告示後,医療機関毎に当該医療技術の実施が可能となる.一方,先進医療Bでは,申請後に,医療技術の内容,申請医療機関の実施体制,当該医療技術実施のための条件等に加えて,臨床試験の計画・実施体制・開発ロードマップ(開発戦略)の妥当性,臨床研究法または再生医療等安全性確保法に適合しているか否かについて,先進医療技術審査部会の構成員による評価がなされる.その結果が先進医療技術審査部会に諮られ,公開の会議の場で議論・承認された後,当該先進医療技術審査部会での評価結果を基になされる先進医療会議の構成員による評価・先進医療会議における議論承認,中央社会保険医療協議会への報告を経て,厚生労働大臣からの告示がなされる.2012年10月までの旧先進医療制度・高度医療評価制度下で行われていた第2項先進医療(狭義の先進医療),第3項先進医療(高度医療)は,2012年10月の制度改正に伴い,それぞれ基本的に先進医療A,先進医療Bに移行している.そのうち,旧第2項先進医療(現行の先進医療Aに相当)として行われていた医療技術のうち現行制度下では先進医療Bとし