ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル
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カレントテラピー 37-2 サンプル
Current Therapy 2019 Vol.37 No.2 41現在進行中の先進医療153患者のうち,術前にMRIにて半月板欠損が疑われ,X線像上OA分類でKL gradeⅡ以下の症例を適応として術前に仮登録する.術中関節鏡視において,半月板欠損部もしくは半月板の修復不能部分の切除後欠損が10mm2以上であり,かつ,半月板辺縁が温存されている症例を本登録して臨床研究を実施している.ACMSを半月板欠損部に適合する大きさにメスでトリミングし,患者の自己静脈血由来のフィブリンクロットとともに関節鏡視下に欠損部へ移植してinside -out法で半月板縫合術を施行してACMSを縫合固定する(図3).術後の後療法は2週まで免荷・ニーブレース固定とし,術後2週より可動域訓練と部分荷重,6週より全荷重による歩行訓練を行っている.術後2~3カ月よりスクワット,5~6カ月でランニングを許可している.術後評価は,血液・尿検査を行うほか,1カ月毎に局所・全身所見を確認し,2カ月毎に臨床スコア(VAS,KOOS,Lysholm スコア,Tegner 活動スコア)を計測し,術後6カ月でMRI(T1WI,T2*)と再鏡視術での評価を行った.Ⅵ ヒト臨床研究の中間成績臨床研究プロトコールにより当初5例の術後2カ月の時点での安全性中間評価を2017年8月に行い,安全性で問題なく臨床研究の継続承認をうけ,2017年12月に先進医療技術審査部会にて臨床研究継続が正式承認された2018年の日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会の学術集会にて,臨床研究開始よりの5例〔男性3例,女性2例,平均年齢44.4(29~53)歳〕の術後7カ月時点での中間成績を報告した.術後7カ月において,全例でVASの有意な改善を認め,その他の臨床スコアでも膝関節機能の悪化は認められなかった.再鏡視では全例において移植したACMSは吸収消失し,5例中4例(80%)で欠損部は修復組織で良好に補填されていた(図4).血液・尿検査や全身所見での有害事象を認めず,ACMS移植側の大腿脛骨関節の軟骨障害が悪化した症例はなかった.半月板の癒合がpoorであった症例では,半月板実質部の変性が強く,horizontal tearの下面が前後ともにflap tearを呈しているhorizontal tearにdoubleflap tearを伴う複合断裂症例であった.Single flaptearの症例は良好な修復を認めたが,doubleのflaptearとなると縫合の安定性が得られにくいため修復が困難である可能性があり,本治療による適応を検討するうえで有用な知見と考えられた.現在,初期の症例では術後1年以上経過しているが,水腫や腫脹を認めた例はなく,活動性と膝関節機能は上昇し,臨床成績は安定している.今後は安全性・有効性にa bc図3臨床研究の手術方法a:右膝内側半月板MRI画像の3D構築.半月板中央部の断面図で,中節にhorizontal tearとflap tearを認め,欠損が生じている(円).b:fibrin clot内に切り出したACMSを挿入し,巾着状に両端を結紮.c:fibrin clotごと半月板欠損部に補填し,縫合する.