カレントテラピー 37-1 サンプル

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Current Therapy 2019 Vol.37 No.1 9191に対する有効性が示されたピオグリタゾン4)はperoxisomeproliferator-activated receptor γ(PPARγ)の刺激薬である.核内受容体PPARにはα,β/δ,γの3つのサブタイプが存在する(表1).PPARαは1990年,IssemannとGreenによりクローニングされた核内受容体である.PPARαは肝細胞,心筋細胞,褐色脂肪細胞など,ミトコンドリアが豊富で脂肪酸β酸化の盛んな細胞に多く発現している.代表的なPPARαの標的遺伝子はacyl-CoA oxidase,carnitine -acylcarnitine translocase,acyl -CoAdehydrogenaseであり,ミトコンドリアβ酸化に関係した多くの酵素・輸送蛋白が軒並みPPARαによって制御されている.PPARα活性化によりβ酸化が亢進し,肝細胞内の脂肪酸・中性脂肪は減少する.またPPARαはNF -κBと競合阻害し炎症性サイトカインやケモカインなどの発現を抑制するため,PPARαの活性化は脂肪肝だけではなく肝炎を改善させ得る.実際,PPARαノックアウトマウスはアルコール性肝障害5)やNASH6)になりやすい.PPARδはPPARαと異なり,全身に発現している.PPARδリガンドがインスリン感受性を改善させ,肝炎や肝線維化を緩和させることが動物モデルで報告されている.脂肪沈着脂肪酸・糖毒性インスリン抵抗性DPP4 阻害薬SGLT2 阻害薬FGF21 アナログFGF19 アナログSCD 阻害薬ACC 阻害薬TRβ 刺激薬FXR 刺激薬PPARα/δ刺激薬バルーニング炎症線維化ASK1 阻害薬CCR2/5 阻害薬Caspase 阻害薬Galectin 3阻害薬TLR4阻害薬図1臨床試験中のNASH治療薬下線部は第Ⅲ相試験進行中の薬剤.DPP4:dipeptidyl peptidase -4,SGLT2:sodium -glucose transporter 2,FGF:fibroblast growth factor,SCD:stearoyl-CoA desaturase,ACC:acetyl-CoA carboxylase,TRβ:thyroid receptor beta,FXR:farnesoid X receptor,PPAR:peroxisomeproliferator -activated receptor,ASK1:apoptosissignal-regulating kinase 1,CCR:chemokine receptor,TLR4:toll-like receptor 4PPARα PPARβ/δ PPARγ主な発現臓器肝臓心臓筋肉皮膚脂肪細胞マクロファージ天然リガンド脂肪酸エイコサノイド脂肪酸エイコサノイドプロスタグランジンエイコサノイド合成リガンドWy-14643FibratesGW501516GW0742,KD3010ThiazolidinedioneGW1929,GW2090脂肪肝↓ ↓ ↓インスリン抵抗性↓ ↓ ↓体重↓ ↓ ↑高コレステロール血症↓ ↓ ―肝炎↓ ↓ ↓肝線維化↓? ↓ ↓肝癌↓? ↑(げっ歯類) ↓? ↓ヒトへの薬剤Elafibranor(dual agonist) Pioglitazone表1PPARとNAFLD/NASH―:不変,?:データ不十分あるいは未確定.