カレントテラピー 36-9 サンプル

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10 Current Therapy 2018 Vol.36 No.9842上記二種類のIVD法がEGFR 遺伝子変異検出検査として推奨されている.IVD法が使用できない状況下ではLDT相当法による検査も可能である.一方で後述の第三世代EGFR -TKIオシメルチニブ使用時にはEGFRT790M 検出が必須であり,この検出にはコンパニオン診断薬として承認されているコバスREGFR変異検出キットv2.0の使用のみが推奨される.一般的にこれらのEGFR 遺伝子変異検出検査にはホルマリン固定パラフィン包埋組織(formalin fixed paraffinembedded:FFPE)検体の使用が推奨される.T790M 検出時(EGFR -TKI治療耐性後の再生検)には組織検体のみならず細胞検体(胸水など)も推奨されており,また再生検が不成功もしくは困難な際には血漿検体の使用が可能である点が初回検査と大きく異なる.Ⅲ 第一世代/第二世代EGFR-TKI1 EGFR-TKIとプラチナ併用療法の比較現在本邦では第一世代EGFR -TKIとしてゲフィチニブ,エルロチニブが,第二世代EGFR -TKIとしてアファチニブが保険承認されている.第一世代と第二世代EGFR-TKIの違いは,EGFRへの結合が可逆的(第一世代)/非可逆的(第二世代)であるか,その他のHERファミリーキナーゼ阻害作用を有するか(第二世代ではHER2/3/4の阻害作用あり)である.これら第一・二世代EGFR -TKIはプラチナ併用化学療法と比較して長い無増悪生存期間や高い奏効率,生活の質(QOL)の改善など,より治療効果が高いことが複数のランダム化比較第Ⅲ相試験で報告されている6),7).第一世代EGFR -TKIとプラチナ併用化学療法を比較したランダム化比較試験(RCT)では全生存期間の延長は示されなかったが,これは試験治療ののちのクロスオーバーに起因するところと考えられている.一方で,第二世代EGFRTKIであるアファチニブとプラチナ併用化学療法を比較したLUX-Lung 3およびLUX-Lung 6ではエクソン19欠失変異群においてはプラチナ併用療法と比較してEGFR -TKIによる全生存期間の有意な延長が証明された(LUX -Lung 3:全生存期間中央値33.3カ月 vs. 21.1カ月,p=0.0015,LUX-Lung 6:31.4カ月 vs. 18.4カ月,p=0.023)8).2 EGFR-TKI同士の比較次に,第一・二世代EGFR -TKI同士の比較について述べる(表1).本邦で行われたWJOG5108L試験ではゲフィチニブとエルロチニブの有効性が比較され,主要評価項目である無増悪生存期間でエルロチニブに対するゲフィチニブの非劣勢は証明されなかった(全解析対象における無増悪生存期間中央値ゲフィチニブ群6.5カ月,エルロチニブ群7.5カ月,p値=0.257,ハザード比1.125)9).探索的第ⅡB相試験のLUX -Lung 7ではcommon mutationに対するゲフィチニブとアファチニブの直接比較が行われ表1 EGFR-TKI同士の第Ⅲ相比較試験試験名症例数試験治療群 vs標準治療群奏効率(%)無増悪生存期間(月)ハザード比(95%信頼区間)全生存期間(月)ハザード比(95%信頼区間)文献WJOG5108L注1) 561ゲフィチニブ vs.エルロチニブ45.9 vs. 44.1(58.9 vs. 55)6.5 vs. 7.5(8.3 vs. 10.0)1.125(0.94-1.347)(1.093(0.879-1.358))22.8 vs 24.5(26.5 vs. 31.4)1.038(0.833-1.294)(1.189(0.900-1.570))9)LUX-Lung7 319アファチニブ vs.ゲフィチニブ70 vs. 56 11.0 vs. 10.90.73(0.57-0.95)27.9 vs. 24.50.86(0.660-1.12)10)21)ARCHER1050 452ダコミチニブ vs.ゲフィチニブ75 vs. 72 14.7 vs. 9.20.59(0.47-0.74)NE NE 11)FLAURA 556オシメルチニブ vs.ゲフィチニブ/エルロチニブ80 vs. 76 18.9 vs. 10.20.46(0.37-0.57)NE0.63注2)(0.45-0.88)16)注1)WJOG5108Lの( )内はEGFR遺伝子変異陽性症例における解析結果.注2)18カ月生存率のハザード比