カレントテラピー 36-9 サンプル

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60 Current Therapy 2018 Vol.36 No.9892Ⅰ はじめに非小細胞肺癌(non -small cell lung cancer:NSCLC)に対するがん免疫(Immuno -Oncology:I -O)療法薬としてニボルマブ・ペムブロリズマブに加えて,2018年5月よりアテゾリズマブも使用可能となった.アテゾリズマブはNSCLCに対して初めて承認されたPD -L1阻害薬となる.本稿ではアテゾリズマブの臨床データに加えて,ニボルマブ,ペムブロリズマブとの違いなどについて概説する.Ⅱ プラチナ併用療法後のアテゾリズマブ1 OAK試験プラチナ併用化学療法後のNSCLC患者を対象に,アテゾリズマブとドセタキセルとを比較する第Ⅲ相試験(OAK試験)が行われた1).主要評価項目はPD - L1発現を問わない有効性解析対象集団とPD -L1陽性の有効性解析集団における全生存期間(overall Survival:OS)であった.PD-L1発現を問わない有効性解析対象集団におけるOS中央値は,アテゾリズマブ群で13.8カ月,ドセタキセル群で9.6カ月,ハザード比0.73(95%信頼区間:0.62-0.87),p=0.0003とアテゾリズマブ群で有意に良好であった.PD-L1発現状況別のサブグループ解析において,いずれのPD -L1発現集団においても,アテゾリズマブ群の有意なOS延長効果が示され,PD - L1陰性(TC0かつIC0)においてもハザード比0.75(95%信頼区間:0.59-0.96)とアテゾリズマブ群で優れていた.無増悪生存期間(progression free survival:PFS)に関しては,PD-L1発現を問わない有効性解析対象集団において,中央値はアテゾリズマブ群で2.8カ月,非小細胞肺癌に対するアテゾリズマブ(PDL1抗体)野崎 要** 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター呼吸器腫瘍科バイオマーカーを用いたがんの診断と治療非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer:NSCLC)に対するがん免疫療法薬として,本邦でも2つのPD-1阻害薬に加えて,PD-L1阻害薬であるアテゾリズマブが使用可能となった.アテゾリズマブはプラチナ併用療法後のNSCLCに対するドセタキセルとの比較試験において,有意な生存期間延長効果を示し,その生存期間延長効果はどのPD-L1の発現状況においても認められた.アテゾリズマブと化学療法との併用療法の開発も進み,IMpower 150試験において,アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ併用療法はカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブと比較し有意な無増悪生存期間/生存期間の延長効果を示した.この他にもPD-(L)1阻害薬と化学療法との併用療法に関する有望なデータが次々に報告され,今後は初回治療からPD-(L)1阻害薬を使用する方向性になることは間違いないと思われる.a b s t r a c t