カレントテラピー 36-6 サンプル

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12 Current Therapy 2018 Vol.36 No.6514易に診断できる.脾静脈や門脈が腫瘍浸潤による狭窄や閉塞を受けると,胃周囲や腸間膜(結腸間膜,小腸間膜)内に側副路として静脈の拡張を認める(図8).Ⅳ CTによる遠隔転移の診断膵癌の治療法の選択にあたっては,局所浸潤のみならずリンパ節転移,肝転移,腹膜播種などの遠隔転移の有無もできるだけ正確に評価する必要がある.しかしながら,リンパ節転移の造影CTによる正診率は高くないのが現状である12).それは短径が1cm以上の腫大したリンパ節が必ずしも転移とは限らず,反応性に腫大したリンパ節である場合も多いこと,比較的小さなリンパ節であっても組織学的には転移が認められる場合があるからである.リンパ節の不整な形態,リンパ節の融合,リンパ節内の壊死の存在は転移を示唆する重要な所見である.また,FDG-PETの集積の程度もリンパ節転移の診断の参考になる(図9).膵癌の肝転移は微小なものが多い.また,数cm大の肝転移では,ダイナミックCTの動脈相では転移巣にAP shunt様の楔状濃染を伴う頻度が高いのが特徴である(図10)13).膵体尾部癌は比較的早期から腹膜播種を伴う場合がある.小さな腹膜播種では腹水が見られないことが多いので,CTを読影する場合には大網や腸間膜の脂肪織内に播種を示唆する小結節がないかどうかに注意をはらうべきである(図11).Ⅴ CTを用いた膵癌の切除可能性分類(膵癌取扱い規約参照)2016年7月に『膵癌取扱い規約』の改訂版(第7版)が出版された14).筆者は放射線科専門医として画像診断(CT診断)を担当した.旧版と比較して改訂版では,膵体部と尾部の境界が腹部大動脈左縁に変更となった(図12).また,NCCNガイドラインに準じて本邦独自の切除可能性分類が新たに定義された.つまり,CT所見に基づいて切除可能(resectable:R),切除可能境界膵癌(borderline resectable:BR),切除不能(unresectable:UR)の3つの切除可能性分類が提唱された.切除可能境界膵癌(BR)については,門脈因子(PV)と動脈因子(A)に分類して定義している.造影CTで切除可能(R)TCHA SPA図7 70歳代男性 膵体部癌,脾動脈(SPA),総肝動脈(CHA)浸潤ダイナミックCT後期動脈相では,膵体部癌(T)により脾動脈(SPA)および総肝動脈(CHA)が浸潤により圧排を受けている.TSPVGEPVCVPV図8 60歳代男性 膵体部癌,後腹膜浸潤,脾動脈,脾静脈浸潤(2.5mmデータを7枚重ねた17.5mm厚のslab MIP画像)ダイナミックCT門脈相では,膵体部癌(T)により脾静脈(SPV)が狭窄し,胃小弯側の冠状静脈(CV)ならびに胃大弯側の胃大網静脈(GEPV)が側副路形成として拡張している.PV:門脈