カレントテラピー 36-6 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.6 83治療薬解説585Creon(海外ブランド名)を合わせたものである.リパクレオンRの効能・効果は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」である.その用法・用量は「1回600mgを1日3回,食直後に経口投与」となっており,適宜増減が認められている.すなわち1日1,800mg(1.8g)投与であるが,るいそう(BMI<18.5)がなく,便の異常,食欲不振,腹部膨満感など膵外分泌機能不全症状を3つ以上発症している患者でなければ,1日900mg(0.9g)投与でも1,800mg(1.8g)とほぼ同等の有効性が証明されている2).リパクレオンR300mg(/1包)(/2カプセル)中には,20,000~32,000FIP単位のリパーゼがアミラーゼ,プロテアーゼとともに含有されている.通常1gの脂肪を分解するためには2,000リパーゼ単位(FIP単位とほぼ同位)が必要と考えられている3)ので,リパクレオンR顆粒300mg(/1包)で理論上10~16gの脂肪を分解できることになり,局方品に比べて7~8倍の高い力価をもつとされている.2011年からわが国で販売されてきたリパクレオンR顆粒300mg分包/リパクレオンRカプセル150mgであるが,販売元がエーザイ株式会社からEAファーマ株式会社に移管し,さらに2018年4月1日からは,マイランEPD合同会社へ移管された.本剤は2018年現在,市場にダブルコードとして流通していることになり,実臨床では多少の混乱をきたしている.販売移管に伴い,現在リパクレオンRに対する各種問い合わせはマイランEPD合同会社くすり相談室(TEL:0120-938-837)となっている.Ⅲ 疼痛に対する消化酵素薬リパクレオンRの販売をうけて,『慢性膵炎診療ガイドライン2015』1)では,その慢性膵炎に対する治療の適否について2つのClinical Question(CQ)が設定されている.その1つは疼痛対策としてのCQ;【消化酵素の大量投与や高力価消化酵素の使用は慢性膵炎の腹痛に有効か?】である.このCQに対するステートメントは「慢性膵炎の腹痛には,消化酵素薬の大量投与あるいは高力価の消化酵素薬を使用することを提案する」であり,推奨の強さ;2(合意率100%),エビデンスレベルBとなっている.慢性膵炎に対する疼痛対策に関しては,非腸溶性製剤と胃酸分泌抑制薬の有効性を示した報告が多く,消化酵素薬腸溶性製剤が疼痛管理に有効であった論文は少ない4).消化酵素薬腸溶性製剤では,十二指腸での消化酵素放出にタイムラグがあり,疼痛と関連する消化管ホルモンであるcholecystokinin(CCK)の上昇を抑制できないからではないかと考察されている.すなわち,慢性膵炎の疼痛に関しては,既存の消化酵素薬非腸溶性製剤と胃酸分泌抑制薬が選択される場合があり得る.自験例における慢性膵炎に対する胃酸分泌抑制薬の使用状況では,47%の症例にH2拮抗薬あるいはプロトンポンプ阻害薬(PPI)が処方されていた(図3).『慢性膵炎診療ガイドライン2015』の解説文では,海外の5文献と1学会抄録のデータをリパクレオンR顆粒300mg分包リパクレオンRカプセル150mg図2 リパクレオンR27%20%53%H2拮抗薬n=90PPIn=67胃酸分泌抑制薬(-)n=178図3 慢性膵炎に対する胃酸分泌抑制薬の使用状況(自験例335例)