カレントテラピー 36-6 サンプル

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82 Current Therapy 2018 Vol.36 No.6584である.一般に膵外分泌機能不全を引き起こす疾患として認知されている疾患は慢性膵炎,膵切除後,膵腫瘍(膵頭部腫瘍,膵の90%以上を占めるもの,膵管閉塞しているもの)と考えられる.壊死性急性膵炎,1型・2型糖尿病においても膵外分泌機能不全が併存することがある.これらの疾患のなかで,消化酵素薬治療について積極的に論じられているのは慢性膵炎である.このため本稿では,慢性膵炎治療を主体に,リパクレオンRを中心とした消化酵素薬の概要を示したい.Ⅱ 消化酵素薬の歴史消化酵素薬の歴史は古く,1900年から使用されている(PankreonR Powder, PankreonR Pressed Tablet).現在まで,世界各国で消化酵素薬が開発されており,通称でパンクレアチン,パンクレリパーゼと呼称されてきた.粒子径をより小さくし,摂取した食物とともに速やかに十二指腸に排出されるよう改良された現在の高力価パンクレリパーゼ腸溶性製剤の原型となる,minimicrospheres(MMS)が開発され,1995年にドイツで製造承認を取得した.以来,海外ブランド名「CreonR」で英国,米国を含む80カ国以上で承認されている(図1)(2010年10月).わが国では,2011年4月22日に高力価パンクレアチン腸溶性製剤が製造承認され,同8月30日に新発売(リパクレオンR,LipaCreonR;製造販売元アボット ジャパン株式会社,販売元エーザイ株式会社)された(図2).リパクレオンRの名称の由来は,Lipa(Lipase:リパーゼ),表1 わが国で使用される代表的な消化酵素薬薬剤名剤形胃溶成分腸溶成分線維素分解酵素1回量用法効能又は効果膵消化酵素薬リパクレオンR 顆・カパンクレリパーゼ0.6g4カ1日3回食直後膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充消化酵素配合薬工クセラーゼR 顆・錠・カサナクターゼ,プロクターゼ,オリパーゼ,メイセラーゼ膵臓性消化酵素TA0.4g1錠(カ)1日3回食直後消化異常症状の改善タフマックER 顆・カジアスメン,ジアスターゼ,オノテース,モルシン,ボンラーゼパンクレアチン,ポリパーゼ,オノプローゼAセルロシンA.P.0.5~1g1~2カ1日2~3回食後消化異常症状の改善ベリチームR 顆細菌性脂肪分解酵素,アスペルギルス産生消化酵素濃厚膵臓性消化酵素線維素分解酵素0.4~1g1日3回食後消化異常症状の改善ポリトーゼR 顆・カヒロダーゼ,マミターゼ,リパーゼA濃厚パンクレアチンセルラーゼAP30.4g1カ1日3回食直後消化異常症状の改善顆:顆粒,錠:錠剤,カ:カプセル膵臓性消化酵素はパンクレリパーゼを指す.〔参考文献1)より一部引用改変〕図1 CreonR