カレントテラピー　36-6　サンプル page 11/34

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カレントテラピー　36-6　サンプル

14 Current Therapy 2018 Vol.36 No.6516の診断は，上腸間膜静脈あるいは門脈に腫瘍が接触あるいは浸潤が180度未満で見られるが，閉塞を認めないもの．上腸間膜動脈，腹腔動脈，総肝動脈に接触，浸潤を認めないもの．BRの診断は，門脈系（BR -PV）では，安全かつ完全に切除・置換できる範囲で，門脈もしくは上腸間膜静脈に180度以上接している，180度以下だが脈管の不整像を伴っている，腫瘍栓を伴っているもの（図13）．動脈系（BR-A）では，膵頭部・鉤部癌の場合，安全に切除・置換できる範囲で，総肝動脈に接しているが，肝動脈分岐部や腹腔動脈には及んでいない，上腸間膜動脈に180度以下で接している．体尾部癌の場合，腹腔動脈に180度以下で接しているものとされている15）．門脈あるいは上腸間膜動脈や静脈の周囲を180度以上超えて腫瘍が取り囲んでいる場合には切除不能（unresectable：UR）と判断できる（図14）．DCT TCA B図1150歳代男性　膵体尾部癌，脾動脈浸潤，左大網播種ダイナミックCT後期動脈相（A）では，膵体尾部癌に進行した膵癌（T）を認める．明らかな腹水を認めないが，詳細に観察すると左大網に1cm大の小さな結節（B：矢頭）が認められ，腹膜播種と診断した．TC：横行結腸，DC：下行結腸Pb PtPh図12　膵の区分：膵癌取扱い規約第7版（2016.7）新しい第7版の規約では，膵体部（Pb）と尾部（Pt）の境界は大動脈左縁となった．旧版と比較すると膵体部の範囲が小さくなっていることに注意する必要がある．TSMV SMA図13　膵頭部癌，上腸間膜静脈浸潤（BR-PV）ダイナミックCT動脈相では，膵頭部に乏血性腫瘍（T）を認める．上腸間膜静脈（SMV）には明らかな狭窄は認めないが．腫瘍と上腸間膜静脈の接触範囲が180度以上であり，上腸間膜静脈浸潤が疑われる．SMA：上腸間膜動脈