カレントテラピー 36-4 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.4 65合併症をもつ高齢者心不全371降圧薬を用いた治療による心不全の発症抑制に関してHFpEFとHFrEFに分けて考察している大規模臨床研究として,ALLHAT試験4)のサブ解析5)が挙げられる.ALLHAT試験は心血管疾患のリスク因子(6カ月前の心筋梗塞や脳卒中,左室肥大,2型糖尿病,喫煙者,HDLコレステロール<35mg/dLなど)をひとつ以上有する55歳以上の高血圧患者を対象として,カルシウム拮抗薬アムロジピン,ACE阻害薬リシノプリルによる降圧療法が利尿薬クロルタリドンによる治療と比べて,冠動脈疾患や心不全の新規発症を抑制するかを検討したものである.対象として,症候性心不全の治療歴や入院歴のある患者や左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)<35%の患者は除外されている.ALLHAT試験の追跡期間中に心不全を発症し入院した患者は1,367人.そのなかでLVEFを評価されていたのは910人であり,404人(44%)がHFpEF,506人(56%)がHFrEFであった.クロルタリドン群ではアムロジピン群やリシノプリル群に比べHFpEF発症リスクが低下した〔vs. アムロジピン群,ハザード比0.69,95%CI 0.53~0.91(p=0.009), vs. リシノプリル群,ハザード比0.74,95%CI 0.56~0.97(p=0.032)〕.また,HFrEF発症リスクに関しては,クロルタリドン群ではアムロジピン群に比しリスクが低下した〔vs. アムロジピン群:0.74;0.59~0.94(p=0.013)〕が,リシノプリル群とは同等であった〔vs.リシノプリルアムロジピンクロルタリドンNo. at RiskリシノプリルアムロジピンクロルタリドンNo. at RiskYears to HF Years to HFCumulative HF Rate Cumulative HF RateCumulative HF RateA Hospitalized HF0.000.010.020.030.040.050.060 1 2 3 4 5 69,0549,04815,2558,5488,58714,5638,1818,26813,9807,7907,90413,3256,8116,88911,6243,9093,9126,5861,9071,8993,212リシノプリルアムロジピンクロルタリドンNo. at RiskYears to HF9,0549,04815,2558,5488,58714,5638,1818,26813,9807,7907,90413,3256,8116,88911,6243,9093,9126,5861,9071,8993,212B Reduced EF0.000.010.020 1 2 3 4 5 60 1 2 3 4 5 69,0549,04815,2558,5488,58714,5638,1818,26813,9807,7907,90413,3256,8116,88911,6243,9093,9126,5861,9071,8993,2120.02 C Preserved EF0.000.01図2 心不全の各タイプにおける新規心不全発症抑制率Solid line:クロルタリドン,Dashed and dotted line:アムロジピン,Dotted line:リシノプリル〔参考文献5)より引用〕