カレントテラピー 36-4 サンプル

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62 Current Therapy 2018 Vol.36 No.4368抑制に関するエビデンスの強いもの(第一選択薬としてサイアザイド系利尿薬,CKD進行患者にはループ利尿薬,冠動脈疾患を有する患者にはβ遮断薬)を推奨したが,すべての主要降圧薬が使用可能であった.サイアザイド系利尿薬ではクロルタリドンを,カルシウム拮抗薬ではアムロジピンを推奨した.来院に関しては,最初の3カ月は毎月,その後は3カ月に1回であった.厳格治療群の収縮期血圧は121.4mmHg(1年後),121.5mmHg(終了時)であり,標準治療群の収縮期血圧は136.2mmHg(1年後),134.6mmHg(終了時).対象患者の平均年齢67.9歳であり,75歳以上の患者の割合は両群とも28.2%であった.降圧薬は開始時で両群とも1.8剤ずつ,終了時で厳格治療群は2.8剤,標準治療群は1.8剤であった.試験は一時エンドポイントである複合心血管イベント(心筋梗塞,急性冠症候群,脳卒中,心不全,心血管死亡)が厳格降圧群で有意な低下を認めたため,3.26年で早期終了となった.一次エンドポイントである複合心血管イベントは厳格治療群において標準治療群よりも有意に少なかった(1.65%/年 vs. 2.19%/年,ハザード比0.75,95%CI 0.64~0.89,p<0.001)(図1).治療必要数(number needed to treat)は61人であった.二次エンドポイントである心不全に関しても,厳格治療群において標準治療群よりも有意に少なかった(0.41%/年 vs. 0.47%/年,ハザード比0.62,95%CI 0.45~0.84,p=0.002)(表).その他,心血管死(0.25%/年 vs. 0.43%/年,ハザード比0.57,95%CI0.38~0.85,p=0.005), 全死亡(1.03%/年 v s .1.40%/年,ハザード比0.73,95%CI 0.60~0.90,p=0.003)に関しても厳格治療群において標準治療群よりも有意に少ないという結果であった.また,試験開始時にCKDを有した患者において腎機能の悪化(eGFRの50%低下)や維持透析導入などの群間差は認めなかったが,非CKD患者において腎機能の低下(eGFRが30%低下し60mL/分/1.73m2以下に低下)した患者は厳格治療群において標準治療群より有意に多かった(1.21%/年 vs.0.35%/年,ハザード比3.49,95%CI 2.44~5.10,p<0.001).重篤な有害事象のなかの,低血圧や失神,電解質異常,急性腎障害,急性腎不全などに関しては厳格治療群において標準治療群よりも有意に多かった.徐脈や外傷を伴う転倒は群間差を認めず,無症候性の起立性低血圧に関しては厳格治療群において標準治療群よりも有意に少なかった(16.6%vs. 18.3%,ハザード比0.88,p=0.01).このSPRINT試験においては,高齢者を含む,心血管リスクを有する患者において,厳格な降圧が生命予後を改善することが示されており,心不全発症0.100.080.060.040.020.000 1 2 3 4Standard treatmentCumulative HazardYearsA Primary OutcomeNo. at RiskStandard treatment 4,683 4,437 4,228 2,829 721Intensive treatment 4,678 4,436 4,256 2,900 779Intensive treatmentHazard ratio with intensive treatment,0.75(95%Cl 0.64-0.89)51.00.80.60.40.20.00 1 2 3 4 5図1一時エンドポイント(複合心血管イベント:心筋梗塞,急性冠症候群,脳卒中,心不全,心血管死亡)〔参考文献1)より引用〕