カレントテラピー 36-4 サンプル

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38 Current Therapy 2018 Vol.36 No.4344トロールと心房と心室の同期不全を解消することによって,大幅に心機能を改善させると考えられる.1998年,Haissaguerreらが,発作性心房細動のトリガーとなる心房性期外収縮の起源が肺静脈(左右上肺静脈)に多く存在することを報告した14).この報告を受け,心房細動に対するカテーテルアブレーション治療は4本の肺静脈隔離術が主流となっている.薬剤抵抗性の有症候性の心房細動に対するカテーテルアブレーションの有効性,安全性は確立されている.またその手段も,以前は高周波アブレーションしかなかったが,近年はクライオアブレーションが実用化され,より簡易に,短い手技時間・透視時間で肺静脈隔離が施行可能となった(図4).FIRE and ICE試験にて高周波アブレーションとクライオアブレーションの有効性・安全性に差がないことは確認されており15),今後クライオアブレーションによる肺静脈隔離は増加してくると予想される.ホットバルーンやレーザーによる肺静脈隔離も新たな治療ツールとして加わってきており,今後も注目すべき分野と考えられる.心不全症例の心房細動では正常心機能症例に比べ,左房拡大などの心房リモデリングを伴うことが多く,1回のセッションで洞調律維持が困難な場合が少なくないうえに,肺静脈隔離の他に線状焼灼や分裂電位を指標として焼灼する等といった追加治療を必要とすることも少なくない.心不全に合併した心房細動に対するアブレーション治療は,必然的に手技時間や透視時間が長くなる.心不全合併心房細動に対するアブレーション治療の成績は,平均23カ月間(18~40カ月)のフォローアップ期間での洞調律維持率は60%(54~67%)と報告されているが16),心房細動や心不全と診断されてからの期間が短いほど,再発は少ない.心房細動と診断されてからの期間が長い症例,左房拡大の顕著な症例,高度の左房負荷を与えるような器質的心疾患のある症例等は洞調律維持率が低いため,手技内容や再発のリスクを考慮し,個々に適応を決定することが望ましい.一方で,最近,CASTLE -AF試験の結果で,心不全患者の心房細動に対するカテーテルアブレーションが,薬物療法と比較して,全死因死亡および心不全悪化による入院からなる複合エンドポイントの発生率が有意に低下することが報告された.今後は心不全症例の心房細動に対し,アブレーション治療でのリズムコントロールが,従来よりも積極的にその適応が考慮される可能性がある17).高齢者心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の適応に関しては現在,一定の見解は得られていない.肺静脈隔離術を中心とする心房細動アブ専用の電極(ワイヤーの機能を兼ね備えたもの)左上肺静脈バルーンにより楔入しており造影剤が漏れないことを確認して冷凍するクライオバルーン28mm径球体の肺静脈側半分が冷凍される図4クライオバルーンによる肺静脈隔離(自験例)