カレントテラピー 36-4 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.4 37合併症をもつ高齢者心不全343な心拍数コントロールは必要でない可能性が報告されている12).この報告を受け,2013年の日本循環器学会のガイドラインでは,緩やかな目標心拍数(安静時HR 110bpm未満)で開始し,自覚症状や心機能の改善が見られない場合はより厳密な目標(安静時HR 80bpm未満,中等度運動時HR 110bpm未満)とすることをclassⅡaとして推奨している13).薬剤によるレートコントロールが困難な症例や頻脈が原因で心不全を繰り返す症例に対しては,究極のレートコントロールとして正常房室結節のアブレーション+ペースメーカー植込み(高度に心機能が低下している症例では心臓再同期療法(cardiacresynchronization therapy:CRT))が考慮される(ablate and pace).Ⅳ 心房細動のリズムコントロールの実際リズムコントロールには抗不整脈薬による治療とカテーテルアブレーション治療がある.2013年に刊行された日本循環器学会ガイドラインでは,器質的心疾患がない場合には強力なNaチャネル遮断薬(ピルシカイニド,シベンゾリン,プロパフェノン,ジソピラミド,フレカイニド),器質的心疾患がある場合にはまず基礎心疾患への治療介入を行ったうえでアミオダロンかソタロールが推奨されている(図3).Naチャネル遮断薬には陰性変力作用があるため収縮能低下例では使用しにくく,またNaチャネル遮断は病的組織の伝導をさらに抑制し,緩徐伝導路を形成して心室頻拍の誘因となり得るため,病的組織を有する器質的心疾患例では使用が制限される.また特にIc群ではミクロリエントリーがorganizeしてマクロリエントリーとなり心房粗動(多くは2:1伝導で心拍数が120~150bpm程度)(Ic flutter)となって,その心拍数調整に難渋することも少なくない.アミオダロンは洞調律維持率が高く,陰性変力作用も強くないため,収縮能低下例にも使用しやすい.しかし,アミオダロンは間質性肺炎や甲状腺機能障害といった副作用が報告されており,特に間質性肺炎は重篤である.アミオダロン使用の際には丹念な聴診と定期的な胸部X線,呼吸機能検査,KL -6のフォローアップが重要である.高齢者では抗不整脈薬を使用すること自体がリスクであることを忘れてはいけない.高齢者では心臓の刺激伝導系の機能が低下しているため,洞不全・房室ブロックなどの刺激・伝導障害,催不整脈作用が出やすい.また抗コリン作用のある薬剤は尿閉をきたすこともあり特に高齢男性では避けるべきである.また食事量や腎機能の変化をきたしやすいので,同じ用量でも急に効果が変わる可能性がある.カテーテルアブレーション治療は抗不整脈薬に比べ洞調律維持率が高く,奏効した場合は無投薬での洞調律維持も可能になる.アブレーションによる洞調律維持は心房細動によって失われた心拍数のコンリズムコントロール冠動脈疾患弁膜症左室肥大器質的心疾患なし心不全フレニカイニド(I:レベルA)プロパフェノン(I:レベルA)ソタロール(I:レベルA)ドロネダロン(ⅠレベルA)※1ソタロール(ⅠレベルA)アミオダロン(ⅠレベルA)ドロネダロン(ⅠレベルA)※1カテーテルアブレーション(Ⅱa レベルB)アミオダロン(ⅠレベルA)カテーテルアブレーション(Ⅱa レベルB)カテーテルアブレーション(Ⅱa レベルB)図3心房細動のリズムコントロール※1:ドロネダロンは日本未発売〔2016 ESCガイドラインより引用改変〕