カレントテラピー　36-12 サンプル page 22/28

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カレントテラピー　36-12 サンプル

Current Therapy 2018 Vol.36 No.12 87各診療域の遠隔医療1235とができる．緊急時でも双方向で画像を閲覧しながらコンサルテーションすることで的確な診断を下すことが可能となる（図2）．当地域では，救急疾患に対する他施設へのコンサルテーションに加えて，平時では患者の医療画像の伝送を合わせて年間500件以上の症例が利用されており，早期の診断，画像の再撮影数の減少，不要な転院の減少などの効果を上げている．Ⅳ 医師・専門医不在地との遠隔医療医師不在地で救急患者が発生した時に遠隔医療を用いれば，現場のスタッフは遠隔地の医師の指示を受けて対応することが可能になる．MedAireは医師不在の航空機内の救急対応を遠隔でサポートするmedlinkというサービスを行っている12）．また，大規模災害時では現場の医療インフラが崩壊して医療アクセスが困難になることが多い．熊本地震時では災害現場で電子カルテを持ち込んで入力操作を行ったり，無人航空機を用いて被災状況を空撮し，ライブ画像の配信，DMAT隊員の活動位置確認や緊急必要性の高い薬剤の運搬などの検証が行われた13）．View Send RADはもともと米軍が湾岸戦争の時にイラクと米国本土を衛星通信で結ぶ遠隔画像診断機器として開発され，実際に戦争時に使用された．また，南極の昭和基地でも衛星通信を用いた遠隔医療が行われている．Ⅴ セキュリティ最後に遠隔医療システム運用時のセキュリティ対策について医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版を中心に概説する14）．LINEなどの汎用SNSやメールは一般的に用いられている情報ツールであるが，これらを用いて画像を添付して配信することは情報が流出する可能性があり，きわめて危険な行為である．なお，電話回線は盗聴法で保護されており通信セキュリティは確保されているが，FAXでの医療情報伝送は送信先を間違うリスクが潜在していることは留意されたい．また，施設間連携の場合は，伝送先は医療機関であり，セキュリティを確保して通信していると思われるが，施設外利用の場合，伝送先は自宅あるいは外出先の医師個人となるためセキュリティに注意する必要がある．スマートフォンやタブレットを使用する場合，以下の3点に注意する必要がある．①bring your owndevice（BYOD）は原則として行わず，機器の設定リアルタイムで双方向のテレビ会議図2遠隔医療支援機能付きPACSによる救急患者のコンサルテーション