カレントテラピー 36-12 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.12 851233や医師そのものが不在時の救急遠隔医療について表にまとめ,個別について解説する.Ⅱ 病院前の遠隔医療1 在宅からの相談やモニタリング在宅領域ではバイタルサインのモニタリングや緊急時のテレビ電話などが行われている.本間らは歩数計,血圧計,体温計,体重計を用いたバイタルサインと活動量をテレモニタリングすることで,1年間に39名の高齢者慢性疾患患者のうち,5例の急性増悪・急性疾患発症を早期検出できることを報告している5).2 救急車との連携総務省消防庁の平成27年救急・救助の現状の報告では,平成26年度の全国の救急出動件数は598万件で過去最高となっており,年々増加している.救急車内でのプレホスピタルケアの充実は患者の予後に影響するため,車内から遠隔で医師から治療の指示を受けたり,病院へ車内情報を提供することで患者の救命率が向上する可能性がある.大分県では県下の救急車32台に画像伝送装置を設置し,県内の4救命救急センターでリアルタイムに車内の患者状況が視聴できる環境と,救急車の位置情報を取得できる環境を構築して傷病者搬送に活用する取り組みが行われた6).また,福井大学では救急隊から救急病院に12誘導心電図のリアルタイム送信を行い,心電図データを救急医や時間外の循環器専門医がクラウドコンピューティングを利用して情報を共有するシステムが検証されている7).Ⅲ 受診後病院内からの遠隔医療わが国の救急医療の約70%は全国で約3,200施設ある2次救急医療機関が対応しているが,救急当番医が1名である施設が71%(2名以下が90%)であり,救急当番医は専門外の疾患も診療していることが一般的である.そのため,救急当番医が対応不能な時は専門施設に紹介するか各科のオンコール待機医師を呼び出す体制をとっているケースが多く,2次救急医療機関の救急当番医に対する支援拡充策として遠隔医療が活用されている.1 病院外にいる自施設医師への相談院内発症あるいは救急外来受診の救急患者を,自宅および外出先の医師へ遠隔医療でコンサルテーションを行う方法である.当院では救急当番医がオンコール待機の専門医や同じ部門の上司などに治療方針を相談する際に用いている.電話相談で得られる情報は,患者の経過,診察所見,採血などの数値データなどであるが,救急患者の病態や診断を下すためには画像診断が必須であることが多い.遠隔画像診断ができない状況では,電話相談を受けた医師は電話のみでは判断がつかないため病院へ出向いて画像を確認する必要があり,負担が大きかった.また,緊急時でもオンコール待機医師や上司が来るまで診断や治療方針を決めることができないことで,患者の状態が悪化したり緊急処置が遅れるなど,患者側にも弊害があった.当院では,2011年に病院の画像を医師の自宅のパソコンでセキュアに閲覧できるシステムを構築し,これらの問題を解決してきた.最初はWeb閲覧型の遠隔画像診断システムを開発したが,自宅のパソコンからのみ閲覧が可能であった.外出先でも画像閲覧を可能にするため,2014年には経済産業省課題解決型医療機器等開発事業「病院と医師間をリアルタイムで繋ぐセキュアな遠隔医療用画像診断支援システムの開発・改良」で,遠隔画像診断プライベートク表 救急医療に用いられる遠隔医療1.病院前の遠隔医療在宅からの相談やモニタリング救急車との連携他の医療施設からの相談2.受診後病院内からの遠隔医療病院外にいる自施設の医師への相談他の医療施設への相談3.医師・専門医不在地との遠隔医療航空機内・船内,山岳地帯,南極基地災害現場,戦場,海外など