カレントテラピー 36-11 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.11 17動脈硬化の病理と発症メカニズム1057血小板は,血栓症による虚血のみならず,炎症の誘発にも重要である.血小板は,CD40L,トロンボスポンジン,血小板活性化因子,regulated onactivation, normal T cell expressed and secreted(RANTES),epithelial -derived neutrophil -activatingpeptide 78(ENA-78),macrophage inflammatoryprotein(MIP),CXC motif ligand 4(CXCL4)などの炎症性サイトカインを分泌する8).活性化された血小板は白血球に接着し,血小板-白血球凝集体を形成する.活性化された血小板から放出されるトロンボキサンA2は,炎症を惹起する.また,酸化LDLは血小板上のLOX -1の活性化により,adenosinediphosphate(ADP)で誘発される血小板凝集を促進する9).内皮細胞においては,内皮傷害により血管運動機能が障害される.健康な内皮は,一酸化窒素(nitricoxide:NO)合成酵素の作用により,L -アルギニンからNOを産生する.NOは平滑筋でcyclic guanosinemonophosphate(cGMP)を増加させ血管を拡張させ,さらに白血球の接着と活性化,血小板凝集,平滑筋細胞の増殖を抑制する.一方,動脈硬化の危険因子の存在下では,血管壁に異常がない場合でも,活性酸素(reactive oxygen species:ROS)と非対称ジメチルLアルギニン(NO産生を阻害する)の過剰産生によりNOが不活化され,内皮細胞の血管拡張性が減弱すると言われている10),11).血流による壁ずり応力(wall shear stress:WSS)やプラーク構造ストレス(plaque structural stress:PSS)などのメカニカルストレスも,内皮細胞機能へ影響する.また,メカニカルストレスは後述する安定プラークから不安定プラークといった,プラークの性質の変化にも関与している.Ⅲ 炎症と酸化ストレス炎症反応は,リポ蛋白の血管壁への移動に影響する.tumor necrosis factor-alpha(TNF-α),inter-A BC Dリポ蛋白マクロファージ遊走マクロファージ泡沫化プロテオグリカンを含む内膜内膜平滑筋細胞線維性被膜プラーク壊死マクロファージ死滅T細胞図2 動脈硬化の進展とプラーク形成〔参考文献4)より引用改変〕