カレントテラピー 36-10 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.10 9935骨密度が不一致の場合には脊椎X線所見を優先するとされている.これは1995年当時,骨密度測定装置の普及が十分ではなかったことなどによると考えられている.また,「骨粗鬆症」の診断基準に既存骨折の有無が含まれている点はわが国の診断基準の特徴といえる.1996年に改訂された診断基準では,①骨塩量は原則として腰椎とするが,腰椎骨塩量の評価が困難な場合にのみ橈骨,第二中手骨,大腿骨頚部,踵骨の骨塩量値を用いても良い点,②SD表記が患者説明にはわかりにくいことから,カットオフ値として,SD表記から%表記に変更すると改訂された(YAMの基準は20~44歳)5()表2).2000年度診断基準の1996年度からの改訂点は,①低骨量の評価は原則として骨密度値を用い,脊椎X線像は骨密度の測定または評価が困難な場合に用い骨萎縮なし骨萎縮Ⅰ度縦の骨梁が目立つ骨萎縮Ⅱ度縦の骨梁が粗となる骨萎縮Ⅲ度縦の骨梁が不明瞭となる図1 脊椎X線側面像を用いた『骨萎縮度』骨量の所見より4つに分類された.正常骨密度値が若年成人の平均値の-1SD以上(Tスコア≧1)低骨量状態(骨減少) 骨密度値が-1>Tスコア>-2.5骨粗鬆症骨密度値がTスコア≦-2.5重症骨粗鬆症骨密度値がTスコア≦-2.5で,1個以上の脆弱性骨折を有する表1WHOによる骨粗鬆症診断カテゴリー骨粗鬆症の診断は原則骨密度値で分けられ,骨粗鬆症に脆弱性骨折を伴ったものを『重症骨粗鬆症』と分類した.表2 1995年から2000年までの原発性骨粗鬆症診断基準の変遷1995年1996年2000年Ⅰ.脆弱性骨折あり低骨量(注1)を伴い非外傷性椎体骨折を認めるもの低骨量が原因で,軽微な外力で発生した骨折.部位は椎体,大腿骨近位部,橈骨遠位端などⅡ.脆弱性骨折なし脊椎X線像骨粗鬆症化(注3)・正常骨萎縮なしなし・骨量減少骨萎縮度Ⅰ度疑いあり・骨粗鬆症骨萎縮度Ⅱ度以上あり骨密度値・正常>-1.5SD(注2) 80%以上(注2) 80%以上(注4)・骨量減少-1.5≦SD<-2.5(注2) 70-80%(注2) 70-80%(注4)・骨粗鬆症-2.5<SD(注2) 70%未満(注2) 70%未満(注4)注1: 脆弱性骨折:低骨量(骨密度がYAMの80%未満,あるいは脊椎X線像で骨粗鬆化がある場合)が原因で,軽微な外力によって発生した非外傷性骨折,骨折部位は脊椎,大腿骨頚部,橈骨遠位端,その他.注2:骨密度値は原則として腰椎骨密度値とする.腰椎骨密度値の測定困難な場合のみ橈骨,第二中手骨,大腿骨頚部,踵骨の骨密度値を用いる.注3: 脊椎X線での骨粗鬆症化の評価は従来の骨萎縮度判定基準を参考にして行う(骨萎縮度Ⅰ度→疑いあり,骨萎縮度Ⅱ度以上や骨粗鬆症化あり).注4: 骨密度は原則として腰椎骨密度とする.ただし,高齢者において,脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が適当でないと判断される場合には大腿骨頚部骨密度とする.これらが困難な場合は橈骨,第二中手骨,踵骨の骨密度を用いる.