カレントテラピー 36-10 サンプル

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56 Current Therapy 2018 Vol.36 No.10982なことがある.またより骨接合術が難しい3/4part骨折では,上腕骨頭は軟骨面が多くロッキングスクリューを十分な深さに挿入することが困難なために再転位を生じやすい.そしてより長いロッキングスクリューを挿入しようとすると,容易に骨頭を穿孔してしまう12).本骨折の治療成績を左右する因子として,上腕骨頭の内反転位と大・小結節の再転位予防が重要であるため,高齢者の本骨折で良好な治療成績を獲得することは結局難しいのである.近年では内固定が困難な症例に対してリバース人工肩関節置換術が行われるようになっており13),今後は脆弱性上腕骨近位端骨折の治療戦略のひとつになり得ると思われる.高齢者の遠位部骨折も治療に難渋する骨折のひとつである.しかし本骨折も内外側にロッキングプレートを2枚設置して固定することにより,ほとんどの症例で内固定術が可能になった(図2).内固定術においては技術的問題点というよりも,上腕小頭や滑車部の粉砕が強くスクリューを挿入できない症例でその固定に難渋する.上腕骨近位端ほど頻度は多くないが,一期的人工肘関節置換術を行うことが解決策になり得る可能性がある14).2 前腕骨骨折骨折の頻度が多いのは橈骨遠位端骨折である.本骨折もロッキングプレートが使用されるようになり脆弱性骨折であっても多くの症例で強固な固定が可能となり,高齢者といえども術後早期の社会復帰を可能としている.ただし粉砕が強い症例では遠位骨片にスクリューを挿入できる安全領域が限られ,技術的熟練を要する.あまりにも遠位骨片の粉砕が強くプレートで強固に固定できない場合は,創外固定やキルシュナー鋼線を併用して対応する.一般的なプレート設置は掌側になるが,遠位骨片が小さく背側骨皮質は非常に薄いため,プレートの正しい設置と正確なスクリュー長の選択が重要になる.例えば橈骨遠位の背側にスクリューの先端がわずかでも突出していると容易に伸筋腱が切れるし,プレートの設置位置が悪ければ屈筋腱損傷を生じる15).上腕骨近位端骨折と同様に,固定性を上げるために十分に長いスクリューをできるだけ多く挿入する必要があり,対側骨皮質ぎりぎりまでのスクリュー長を計測し選択しなければならないことが脆弱骨に対する骨a:受診時両股関節単純X線写真b:受診時左大腿骨単純X線写真c:術後2カ月単純X線写真図1 左大腿骨骨幹部骨折(おむつ骨折)89歳,女性.喘息,慢性腎不全,認知症を合併.寝たきりであったが,左大腿部を痛がるために受診.右は大腿骨頸部骨折の既往があるも保存的に治療(a).左大腿骨骨幹部骨折を認める(b).全身状態不良のためエンダー釘にて内固定術を行った.骨癒合は得られ,介護時の疼痛もなくなった(c).