カレントテラピー 36-10 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.10 55981定が困難であった脆弱性骨折に対して,安定した固定をより低侵襲で行うことができるようになった3),4).本プレートが登場する前は内固定が行われることが少なかった上腕骨近位端骨折や橈骨遠位端骨折に対して,最近の臨床の現場では内固定が一般的に行われるようになったことからも,ロッキングプレートの利点をうかがい知れる.また従来は固定が困難であった小さな骨幹端の骨片も良好に固定できるようになった.それらを実現可能にした本プレートの特徴としてはまず,角度安定性による固定力の向上が挙げられる5).さらにプレートはより骨の解剖学的形状に合うようにアナトミカルプレート6)が開発され,種類も豊富でプレート厚は軟部組織への負担が少ない薄いものへと発展している.従来からプレートは関節周辺骨折の内固定に用いられることが多いため,アナトミカルプレートを薄くして軟部組織への刺激を軽減させることは特に軟部組織も脆弱な高齢者の治療には不可欠なことである.2 髄内釘大腿骨,脛骨,上腕骨の骨幹部骨折に使用されるインプラントのゴールドスタンダードである7).現在では大腿骨転子部や転子下骨折の内固定には髄内釘が一般的であるし,大腿骨遠位部,上腕骨近位部も単純な骨折型では髄内釘が頻用されている.髄内釘は軟部組織への侵襲が少なく,固定力も良いことから脆弱性骨折の内固定に適したインプラントなのである.近年ではより固定力を上げるために,挿入できる横止めインターロッキングスクリューの本数は多くなり,かつそれらが多方向からも挿入でき,髄内釘の形状自体もより解剖学的にフィットするタイプとなっている.また髄内釘の横止めスクリューにさまざまなロッキング機能を有するシステムも開発されている.そのためかなり関節に近い骨幹端部骨折にも髄内釘の適応は拡大されており,軟部組織が脆弱な高齢者の骨接合術には最初に適応を考慮したいインプラントである8).ただし大腿骨では弯曲の強い症例など,高齢者では個体差が大きな部位もあり,既存の髄内釘が使用しづらい症例では治療に難渋することがある.3 創外固定イリザロフ創外固定を代表とするリング式創外固定が脆弱性骨折に有用であるとする報告がある9).特に膝関節や足関節周囲の脆弱性骨折であっても早期荷重歩行を可能にする点はかなり魅力的である.軟部組織に対する侵襲は少なく,プレートや髄内釘などの内固定が困難な症例に対処するためにどうしてもマスターしたい手技ではある.しかしながら本インプラントを脆弱性骨折に上手に使いこなせる経験のある術者は少ない.また高齢者に創外固定を用いた場合,ピン刺入部を適切に管理できるスタッフや施設などの環境が整っていることは少なく,限られた施設や地域での使用となる.4 エンダー釘軟部組織だけでなく骨自体への侵襲も少なくユニークなインプラントである.全身状態が不良のために手術時間が制限され,より少ない手術侵襲が求められるおむつ骨折10)のような特殊例で有効な場合がある(図1).インプラント自体が非常にシンプルであり手術は一見簡単に感じるかもしれないが,脆弱性骨折の内固定に合併症なくエンダー釘を使いこなすためには色々な工夫と経験が必要である.よってイリザロフ創外固定と同様に,限られた術者による使用となる.著者はおむつ骨折だけでなく,プレートや髄内釘だけでは固定が困難な症例に,エンダー釘も併用することで対応している症例がある11).Ⅲ 上肢骨折1 上腕骨骨折近位端骨折は骨幹部骨折や遠位端骨折に比べてはるかに内固定は難しい.高齢者に内固定を行う場合原則として,2-part 外科頸骨折では髄内釘を,3/4part骨折ではプレートを用いる.若年者では高エネルギー損傷であっても骨質の良さから解剖学的整復が可能なことが多い.しかし脆弱性骨折では低エネルギー損傷であっても骨折部は粉砕し,皮質骨が薄いため解剖学的整復は難しく,たとえ整復できたとしても骨癒合までその整復位を保持することが困難