カレントテラピー 36-10 サンプル

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54 Current Therapy 2018 Vol.36 No.10980Ⅰ はじめに2040年代には未曾有の超高齢化社会を迎える本邦では,今後脆弱性骨折の発生が著しく増加する可能性が高い.本骨折の対処は,整形外科医はもちろんのこと内科医,麻酔科医,精神科医などすべての医師とコメディカルスタッフ,そして福祉施設を含む地域社会全体が取り組んでいかなければならない大きな課題である.しかし社会的認識として一般の骨折は全疾病のなかでもあまり重要視されておらず,それは脆弱性骨折の治療に関しても同様である.超高齢化社会を間近に控えているわが国において,健康寿命を延ばすことの意義は大変大きく,ロコモティブシンドロームや骨粗鬆症治療は社会的認知度が徐々に高まってきている.そしてさらに高齢者の良好な日常生活動作(ADL)をできるだけ長く維持するためには,脆弱性骨折治療も重要であり,すべての医療関係者を含む社会全体にその関心度を高めていく必要がある.本稿では脆弱性骨折の治療として,他稿で詳述される脊椎骨折,非定型大腿骨骨折,人工関節周囲骨折を除く一般的な骨折について,骨接合術に使われる内固定材料(インプラント)と骨接合術の基本を紹介し,その技術的問題点を中心に解説する.Ⅱ 使用されるインプラント1 プレートロッキングプレート1),2)が開発され骨折の治療は劇的に変化した.特に従来のプレートでは強固な固* 自治医科大学整形外科講師骨粗鬆症診療の真の目的は何か?! ─ 脆弱性骨折の予防と診療の最前線脆弱性骨折に対する骨接合術の技術的問題松村福広*超高齢化社会に突入しているわが国にとって,高齢者が健康寿命を延ばし,自立した生活をできるだけ長く送ることができるように支援することは重要である.しかし加齢に伴い骨粗鬆症などのために骨質が劣化した脆弱骨となり,転倒など些細なことで骨折を生じることがある.近年ではこの脆弱性骨折患者が増加しているがその治療には難渋することが多い.その理由は内科合併症などの全身状態不良により麻酔や手術内容が制限され,リハビリテーションも上手く進まないことなどが挙げられるが,脆弱な骨および軟部組織による手術自体の難しさによるところが大きい.骨折の骨接合術に使用されるインプラントは近年かなり進歩しているが,骨折の良好な整復や骨性支持を得た固定など内固定の基本事項の遵守が本骨折の治療を成功に導くために必須である.特に治療に難渋する本骨折では人工関節や骨セメントも併用するなどさまざまなアプローチを駆使し個々の症例に応じて用いることも重要である.