カレントテラピー 36-10 サンプル

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カレントテラピー 36-10 サンプル

20 Current Therapy 2018 Vol.36 No.10946of daily living:IADL)(R=0.261 and R=0.408)等の日常生活機能(revised Hasegawa’s dementiascale:HDS-R)(R=0.393 and R=0.553),vitalityindex(R=0.246 and R=0.396)との間に正の相関が認められた(表)4).また要介護高齢男性において血清テストステロン濃度と生命予後との間に関連性が認められた5).今後,加齢に伴うホルモン動態の変化や作用機構の解明が一層進むことにより,フレイルや筋骨連関の破綻に対する新しい予防・診断・治療法の確立が期待される.Ⅲ 骨の加齢と性ホルモン先述のとおり,加齢に伴い身体機能,生理機能の低下や生殖内分泌器官の機能低下が認められるようになり,特に女性ではエストロゲンをはじめとするホルモン動態にも大きな変化が生じてくる.また,骨粗鬆症の発症については性差が明らかとなっており,受療率の点で女性/男性比が高い疾患となっている.骨粗鬆症有病率や大腿骨近位部骨折の推定発生数は男女とも加齢に伴い増加する一方で,女性では男性に比べて約3倍高いことが知られている(図3)6),7).閉経後骨粗鬆症では海綿骨や皮質骨内膜面における骨吸収亢進とそれに伴う海綿骨梁の連続性消失や骨量減少が認められるのに対し,男性骨粗鬆症では骨形成低下が主に認められ海綿骨梁の連続性が比較的保たれていることが多い8).男性骨粗鬆症における骨断面変化として,皮質骨内膜面における骨吸収亢進は加齢に伴って認められる一方で,テストステロン作用に伴う皮質骨外膜への骨形成により骨強度低下が認められにくく,骨粗鬆症における性差の一因とも考えられる.また,男性における骨量減少は,女性に比べて少し遅れて認められるようになるが,65歳ころから女性と同様に年間1%程度の骨量減少を認め,死亡に至るまでの間に約20~30%の骨量を失うとされる.50歳男性の場合,欧米において生涯にわたる骨折危険率は約20%とされ,加齢とともに肋骨,脊椎,前腕骨,上腕骨,大腿骨近位部などの骨折頻度が増加することが知られている.わが国において,大腿骨近位部,椎体,橈骨遠位端などの骨粗鬆症性脆弱骨折発生率は女性と比較して男性で低いことが示されている9).その一方で,大腿骨近位部骨折受傷後1年以内の死亡率は,女性が7~8%程度であるのに対して,男性では14~16%と,女性に比べて約2倍高80歳代後半以上80歳代前半70歳代後半70歳代前半60歳代後半年 齢男性60歳代前半50歳代後半50歳代前半40歳代後半40歳代前半60頻度(%)女性40200図3骨粗鬆症有病率に関する性差〔参考文献6)より引用〕総テストステロン遊離テストステロンDHEA-S DHEA エストラジオールBarthel Index 0.292 0.282 0.094 -0.058 0.110Instrumental ADL 0.261 0.408 0.239 0.140 0.129HDS-R 0.393 0.553 0.390 0.393 0.266Vitality Index 0.246 0.396 0.210 0.297 0.291GDS -0.103 -0.097 -0.181 -0.027 -0.060表軽度要介護高齢男性におけるテストステロンレベルと認知機能・生活機能との関連性〔参考文献4)より引用改変〕