カレントテラピー 36-10 サンプル

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カレントテラピー 36-10 サンプル

Current Therapy 2018 Vol.36 No.10 19945能の表現型を主軸とした定義がなされている1).そこでは①体重減少,②主観的な活力低下,③握力低下,④歩行速度低下,⑤活動度低下から成る5つの症候が抽出され,このうち3項目以上該当した場合にはフレイル,1~2項目に該当した場合にはプレフレイルと定義づけられている.また,フレイルな高齢者では健常群に比べて転倒リスクや骨折リスクが高いことが明らかとなってきており(図1)2),骨粗鬆症対策や転倒・骨折予防を考えるうえでフレイル対策は重要であると考えられる.また高齢者では,加齢に伴って身体機能,生理機能の低下とともに生殖内分泌器官の機能低下が認められ,閉経に伴うエストロゲンレベルの低下などホルモン動態にも大きな変化が生じてくる.実際,認知症,骨粗鬆症,動脈硬化性疾患などでは性差が認められ,アルツハイマー型認知症については男性と比較して女性では2~3倍程度発症率が高いことが知られている.さらに,女性は男性に比べて平均寿命が長い一方,ADLやQOLの低下を認めやすいとされ,年齢とともに要介護高齢者における女性の割合は男性と比べて増加する.また,要介護の原因疾患として女性では男性に比べて認知症や骨折・転倒の割合が高い.一方の男性では,加齢による性ホルモン低下は,男性骨粗鬆症の発症・進展に関与するほか,性欲低下,うつ症状,勃起障害などに代表される男性更年期障害とも関連し,late-onset hypogonadism(LOH)症候群として理解されている.男性における生殖内分泌器官の機能低下は性ホルモン低下とそれに伴うアンドロゲン受容体(androgen receptor:AR)をはじめとする性ホルモン受容体シグナルの減弱をもたらすと考えられる.このように,高齢男性では加齢に伴いテストステロンレベルの低下を認めることが知られているが,最近の研究から低テストステロン状態による高齢者の身体機能,転倒などへの影響について,しだいに明らかになってきた.米国における地域在住高齢男性を対象とした4年間の観察研究では,当初の活性型テストステロン値と転倒リスクとの間に負の相関を認め,テストステロン値が下位1/4の男性において上位1/4の男性より転倒リスクが約40%高くなる結果となった(図2)3).また,低テストステロンの影響は65~69歳の男性で最も顕著に認められ(RR1.8;95%信頼区間1.2-2.7),身体能力の低下とも相関を認めるなど,高齢者における性ホルモン濃度と転倒リスクとの関連性が示された.長野県在住の軽度要介護高齢者を対象とした筆者らの検討結果では,血清総テストステロン濃度,遊離テストステロン濃度についてADL(R=0.292 and R=0.282),手段的日常生活動作(instrumental activitiesプレフレイル群フレイル群健常群1.5 2オッズ比#(95%信頼区間)0.5 1・繰り返す転倒(2回以上転倒)の危険度プレフレイル群フレイル群健常群1.5 21.40(1.03-1.90)1.27(1.04-1.56)1.001.38(1.02-1.88)0.90(0.72-1.12)1.00ハザード比#(95%信頼区間)0.5 1・大腿骨近位部骨折の危険度図1 フレイルと転倒・骨折リスク〔参考文献2)より引用改変〕5.172.01.81.61.41.21.00.80.60.40.206.77 7.95 9.82血中テストステロン濃度(ng/dL)転倒リスク図2 活性型テストステロン値と転倒リスク〔参考文献3)より引用改変〕