カレントテラピー 35-9 サンプル

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32 Current Therapy 2017 Vol.35 No.9846Ⅰ 乳癌再発予後予測法CurebestR 95GC1 95GC 開発と検証結果2010年にPublic data base(Gene Expression Omnibus:GEO)から,欧米人乳癌患者549例の臨床情報(ER陽性,リンパ節転移陰性,術後無治療80%+タモキシフェンのみで治療20%)とその乳癌原発巣のマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析DATA(CEL file)をtraining setとして抽出し,再発に関係するオリジナルの95個遺伝子群を選択し,再発予後をHigh -risk /Low -risk 2群に分ける再発予後予測法「95GC」を開発した1),2).開発終了後から2016年までの間に,新たに公共DATAベースに欧米の3施設からUPされた全例である440例と,大阪大学における199例から成る独立したvalidation set計639例(ER陽性・リンパ節転移陰性・術後ホルモン療法のみを施行)に95GCを適用した結果,Kaplan -Meier analysisのdistant recurrencefree survival rate(以下,DRFS%)においてHighrisk群とLow -risk群の間に強い有意差があることを示すことができた(p<0.0001)(図1a).このうちHER2陰性603例におけるLow -risk群の術後5年のDRFS%は94.5%(95%信頼区間:91.7~96.4%)であり,予後良好なLow -risk群では術後化学療法が不要であることが示唆された.さらにこのうち,日本人199例における検討では,95GCは閉経前後いずれの群においても再発予後をHigh -risk /Low -risk 2群に分け得ることが示された.閉経前(High -risk群48.9%)においては,閉経後(High -risk群28.8%)と比して有意にHigh -risk症例の割合が多いことが示された(p=0.0038).欧* 大阪大学大学院医学系研究科乳腺内分泌外科乳癌ゲノム医療最前線─ 臨床応用はどこまで進んだかCurebestR 95GC─日本で開発された多遺伝子発現解析─直居靖人*乳癌の約半数を占める「ER陽性・HER 2陰性・リンパ節転移陰性」というsubtypeにおいては,予後が比較的良好なことから術後化学療法の適応を決めることが難しく,再発予後予測が重要であるとされてきた.この課題に対して,近年欧米では多遺伝子アッセイによる再発予測法として,Oncotype DX R(乳癌診療ガイドライン2015推奨グレードB),MammaPrint R(同C 1),Prosigna R(同C 1)等が開発された.ここでわが国への多遺伝子アッセイの導入にあたり,外国にサンプルを送り解析を委託することは容易である.しかしサンプルとDATAを外国で蓄積するならば,近い将来われわれは解析すべき日本人DATAベースを失うことになるかもしれない.そのような観点から大阪大学では,DNA microarray を用いた95 遺伝子の発現情報に基づく乳癌再発予後予測法CurebestR 95 GC breastを開発した(同C 1).本稿ではその開発経緯と検証結果,およびCEL fileを用いた発展性について概説する.