カレントテラピー 35-8 サンプル

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78 Current Therapy 2017 Vol.35 No.8792ト+BevおよびBev維持療法を施行後にprogressivedisease(PD)となった患者を対象に,二次治療以降も標準治療にBevを継続投与するAvaALL試験が行われ,ASCO2017で結果が報告される予定であるが,参考になる試験がある.WJOG 5910 L(第Ⅱ相試験)では,プラチナダブレットとBevを併用投与し,増悪後にDTX単剤投与群と,DTX/Bev併用投与群の効果を比較した10).主要評価項目のPFSにおいてDTX/Bev併用群で有意な延長を認め〔DTX単剤群3.4カ月 vs. 併用群4.4カ月,HR 0.71(95%CI:0.47~1.09),p=0.058〕,OSでも併用群で良好な傾向であった〔DTX単剤群11.0カ月 vs. 併用群13.1カ月,HR 0.74(95%CI:10.6~21.4),p=0.11〕.3)悪性胸水に対する効果新たに診断された非小細胞肺がんⅣ期の患者において約50%が胸水(微量胸水を含む)を有しており,胸水のない患者に比較し予後不良であった11).悪性胸水の貯留機序には,胸膜播種によるリンパ流の閉塞のほか,胸膜浸潤による胸膜血管透過性亢進がある.胸腔内にがん細胞が浸潤し,VEGFが産生されると胸膜の毛細管透過性が亢進し,悪性胸水が過剰産生されるが,VEGFR阻害薬はがん性胸水の産生を抑制することが示されている12),13).BevでVEGFの作用を制御することが,胸水コントロールに有効であることを証明するいくつかの臨床研究がある.Kitamuraらは,ドレナージが必要な悪性胸水を有する非扁平上皮非小細胞肺がん患者13例に対して,プラチナ併用化学療法とBevを併用することで,8週間後の胸水コントロール率が92.3%と非常に優れていたことを報告した14).NEJ013A試験では,同様の患者を対象にカルボプラチン+ペメトレキセド+Bev併用療法による胸水コントロールについて,主要評価項目を8週間後の胸水コントロール率として評価した15).92.9%(95%CI:77.0~99.0%)の患者で8週間後も胸水のコントロール可能であったことが示され,奏効率46.4%,病勢制御率78.6%,OS18.6カ月と各副次評価項目も良好な成績であった.ドレナージが必要な悪性胸水を有した非扁平上皮非小細胞肺がんの初回治療としてBev併用療法は有望であるが,第Ⅱ相試験であり臨床での使用には十分な検討が必要である.4)脳転移に対する効果脳転移は肺がんの合併症で頻度が高く,生活の質(QOL)を低下させ,予後不良な病態である.脳転移に対する殺細胞性抗がん剤の効果は低く,有症状の脳転移に対しては放射線治療が推奨されている.Bevの治療開発当初に脳転移巣からの出血を認め,脳転移を有する症例を除外して試験が実施されてきたが,脳転移を有する非小細胞肺がんを対象にBevの安全性を評価した試験がある.PASSPORT試験では,局所治療を行った脳転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がんの患者を対象に,一次治療ではプラチナダブレットまたはエルロチニブ(ERL)に,二次治療では単剤抗がん剤またはERLにそれぞれBevを追加したところ,Grade 2以上の脳出血は観察されなかった16).BRAIN試験では,未治療無症候性脳転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がんの患者を対象にBevの有用性・安全性などが評価された17).一次治療ではCP療法に,二次治療ではERLにそれぞれBevを併用し,PFS中央値は6.7カ月,OS中央値は16カ月と良好な結果で,脳出血はGrade1を1例に認めたのみであった.また,頭蓋内病変の奏効率は61.2%であり,標準治療に位置づけられているシスプラチン+ペメトレキセド併用療法において頭蓋内病変に対する奏効率は41%であることから18),優れた成績であった.5)EGFR-TKIとの併用療法EGFR 遺伝子変異陽性肺がんに対するゲフィチニブやERLなどEGFR-TKIの有効性は多くの試験結果から証明されている.さらなる効果を期待し,ERLにBevを上乗せする意義を検証する第Ⅱ相試験が実施された19).主要評価項目PFSの中央値は,ERL群9.7カ月に対してERL/Bev併用群16.0カ月〔HR 0.54(95%CI:0.36~0.79),p=0.0015〕と有意に延長することが証明され,際立った成績であったため,第Ⅲ相試験(NEJ026試験)の結果が期待されている.2 ラムシルマブBevでは扁平上皮がんが対象除外されたが,Ramの治療開発は扁平上皮がんを含む非小細胞がんを対象として進められた.代わりに,喀血のリスクとなる中枢病変や空洞病変を有する症例,喀血の既往のあ