カレントテラピー 35-7 サンプル

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10 Current Therapy 2017 Vol.35 No.7618結果と比べてあまり大きな変化は生じていないと考えられる.高尿酸血症は特に男性において肥満と密接に関連するが,上記の高尿酸血症の経時的推移は,肥満の全国動向と並行している.すなわち,国民健康栄養調査によれば,2000年代半ばまでは男性において肥満は増加傾向であったが,その後は肥満の頻度は30%程度と高止まりした状態が続いていることが示されている(図5)8),9).東日本大震災での原発事故に伴う避難地域の住民を対象とした2012年の調査では,40~64歳の男性7,717名における高尿酸血症の頻度は20.9%と報告されており,大企業を対象とした報告よりやや低い数値となっている10).血清尿酸値は生活習慣の影響を大きく受けることから,対象集団の生活環境の違いによって高尿酸血症の頻度に差が生じた可能性がある.これまで,全国レベルの高尿酸血症の動向についての調査結果は報告されていない.特定健康診査の検査項目に血清尿酸値を組み入れている自治体も多いようであり,このようなデータを利用した検討が今後期待される.Ⅳ 若年者における高尿酸血症Oyamaらは,秋田県における調査で9~14歳の男子では,血清尿酸値が年齢とともに上昇すること,高尿酸血症の頻度も年齢とともに上昇し,12歳では8.1%,13歳では10.6%,14歳では19.9%であったことを示した11).Hongoらは,長野県において中学生を対象に調査を行い,男子では12歳で高尿酸血症が10%,13歳で10.4%,14歳で15.3%にみられたと報告した12).これらの報告において,高尿酸血症は肥満と関連することが示されている.以上のように,中学生男子においてすでに成人の1/2あるいはそれ以上の頻度で高尿酸血症がみられている.また,肥満が関与していることは成人と同様であり,小児においても生活習慣の是正は重要である.このように若年から高尿酸血症を示す場合,生涯にわたって高尿酸血症が継続する可能性が高いと考えられる.すなわち,人生90年近くとなった現在,治療を受けなければ10%以上の男性が,80年間もの長期間にわたって高尿酸血症を有することになる.高尿酸血症が痛風だけでなく,腎障害や尿路結石のリスクであることも考慮し,臨床的に対処していく必要がある.199519961997199819992000200120022003200420052006200720082009201020112012201320-60歳代男性40-60歳代女性肥満者(BMI 25kg/m2以上)の割合33(%)272531292321191715図5肥満者の割合の推移(平成22年および平成25年国民健康栄養調査)〔参考文献8),9)より引用〕