カレントテラピー 35-7 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.7 7615高尿酸血症・痛風― 診断と治療の新展開―企画帝京大学医学部附属新宿クリニック院長藤森 新わが国において1950年頃までは希少疾患であった痛風は,食生活の欧米化と飽食の時代を経て患者数は増加の一途をたどり,2013年の厚生労働省国民生活基礎調査によると100万人を超え,さらに痛風関節炎を発症していない無症候性高尿酸血症の人は1,000万人に達すると推計されている.1950~1970年代にかけて開発され痛風治療に用いられたプロベネシド,アロプリノール,ベンズブロマロンなどの優秀な尿酸降下薬によって痛風関節炎のコントロールが可能となり,痛風の治療体系は完成したかに思われていた.ベンズブロマロンの登場以後この領域では新規薬剤の開発が進まなかったこともあり,診療,研究の両面において新知見が乏しい時期が続いたこともあったが,フェブキソスタットに代表される新規尿酸降下薬の開発に伴って2000年前後から本領域での研究が再び活発になり,腎障害や心血管障害など痛風関節炎以外の高尿酸血症による臓器障害の可能性が,大規模な疫学調査や尿酸降下薬による介入試験などで明らかにされてきた.日本痛風・核酸代謝学会では『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第1版』を2002年に,2010年には第2版を発行して,一般医家が均質かつ良質な高尿酸血症・痛風の診療を実践できるための一助としてきた.文献データベースであるPubMedで尿酸(uric acid)とメタ解析(meta-analysis)をキーワードとして文献検索を行うと,2009年までは21件に過ぎなかった論文は2010年から現在までに164件と著増しており,尿酸に関しての観察研究や介入試験の件数が増加していることを裏づけている.このように新しいエビデンスが急速に多く蓄積されてきていることを背景に,日本痛風・核酸代謝学会ではガイドライン改訂委員会を立ち上げ,2018年中の発行を目指して,『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』の改訂作業に入っている.今回の特集では第3版の改訂委員の先生方にも多く参加していただき,「高尿酸血症・痛風─診断と治療の新展開─」と題して各著者にご執筆いただいた.先生方の診療の一助となれば幸いである.エディトリアル