カレントテラピー 35-7 サンプル

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82 Current Therapy 2017 Vol.35 No.7690Ⅰ はじめに高尿酸血症に対して使用する尿酸降下薬としては尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬がある.尿酸生成抑制薬にはキサンチン酸化還元酵素(xanthine oxidoreductase:XO)阻害薬であるアロプリノールのみが臨床応用されていた.アロプリノールは1960年代に開発された薬剤であるが,その後,尿酸生成抑制薬は開発・上市されていなかった.アロプリノールは優れた薬剤ではあるが,副作用として過敏症や肝障害,まれではあるが骨髄抑制や壊死を伴う重篤な皮疹を生じることも知られている.また,アロプリノールおよびその活性代謝物であるオキシプリノールは,主として腎から排泄されるため,腎機能の低下した患者では,オキシプリノールの血中濃度が上昇し,副作用発現頻度を高めるとの懸念から用量を低下させる必要がある.そしてアロプリノールは核酸構造(プリン骨格)を有していることから,他のプリン代謝酵素への影響も否定できないと考えられていた.アロプリノール開発以降もいくつもXO阻害作用のある化合物が開発候補物質として登場したが,上市には至らなかった.その理由としてアロプリノールに加え代謝産物であるオキシプリノールが強いXO阻害作用を有していることが挙げられる.アロプリノールより強いXO阻害作用のある化合物であっても,オキシプリノールのXO阻害作用を加味して考えないと,アロプリノールより優れたXO阻害薬とはならないことがひとつの理由であった.こうしたなか,日本において2011年にフェブキソス新規尿酸降下薬─フェブキソスタットとトピロキソスタット─細谷龍男** 東京慈恵会医科大学名誉教授/慢性腎臓病病態治療学教授高尿酸血症・痛風─ 診断と治療の新展開わが国でフェブキソスタット,トピロキソスタットが新規高尿酸血症・痛風治療薬として開発された.この2剤はアロプリノールとは異なり,プリン体骨格をもたず,作用機序も排泄経路も異なる.以前より高尿酸血症の病型分類に基づいて,尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬を,尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬が使用されていたが,トピロキソスタット,フェブキソスタットともに腎機能低下例にも減量することなく投与が可能とされ,従来の病型分類に基づく薬剤の選択意義が見直されつつある.加えてトピロキソスタットには尿アルブミン/尿クレアチニン比の低下作用も確認されており,腎保護作用も期待されている.トピロキソスタット,フェブキソスタットとも慢性腎臓病(chronickidney disease:CKD)症例に長期に使用した時の腎機能に与える効果や心血管障害に及ぼす影響に対して十分なエビデンスを確立することが必要である.この新規キサンチン酸化還元酵素(xanthine oxidoreductase:XO)阻害薬を従来のアロプリノールと区別するため,非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ選択薬〔nXOR(ノクサー)〕と呼称しようとする意見もある.a b s t r a c t