カレントテラピー 35-7 サンプル page 19/32
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カレントテラピー 35-7 サンプル
80 Current Therapy 2017 Vol.35 No.7688うにするのが勧められる.また,一部の健康食品には多量のプリン体が含まれている.1日分の服用量で200mgになるものもある.血清尿酸値の高い人はこのような健康食品は避けるのが望ましい.調理法に関しては,プリン体の一部は水溶性であるため,同じ食材なら,『焼く,炒める』より,『煮る,茹でる』のほうが,摂取するプリン体量を減らすことができる.煮汁(スープ)にはプリン体が溶け出しているので,血清尿酸値の高い人は煮汁を飲んでしまわないようにするのが良い.2)果糖Linらは砂糖入り飲料について前向きコホート研究を行い,砂糖入り飲料を1日に2回以上飲む人の痛風発症リスクは2日に1回以下の人と比べて1.9倍と高く(p<0.002),特に果糖の摂取量と相関することを報告している19).砂糖入り飲料と小児のインスリン抵抗性との関連についての報告もあり,果糖の過剰摂取は,メタボリックシンドロームの有病率の増加や尿路結石形成の促進とも関連している.4 水分の摂取尿酸の排泄を促すために,水分の摂取が勧められている.1日2,000mL以上の尿量を維持するため,食事以外に1日2,000 mL以上の飲水を行うのが良いとされる.Ⅳ 血清尿酸値を下げる食品血清尿酸値を下げる食品成分として,タンパク質,ビタミンC,ポリフェノール,フラボノイド,食物繊維が報告されている.具体的な食品としては,乳製品やコーヒーの摂取量が多い人ほど血清尿酸値が低いという疫学調査がある6).またチェリーにより血清尿酸値が低下したとの報告もある.乳製品は含まれるカゼインが尿酸の排泄を増やす,コーヒーやチェリーではポリフェノールが尿酸の排泄を増やすと報告されている.また近年,ヨーグルトに使用される乳酸菌の1種であるLactobacillus gasseri PA- 3(PA- 3乳酸菌)が,プリン体を自ら取り込むと同時に,プリン体を尿酸値を上げにくい分子種に分解することが発見され20),PA - 3乳酸菌入りのヨーグルトが販売されている.乳製品は血清尿酸値を下げる作用もあり,含まれるプリン体も非常に少ないことから,食事療法に取り入れることが勧められる.Ⅴ 勧められる食事1日のプリン体摂取量は400 mgと言われるが,具体的には,定食のような,主食+主菜+副菜(一汁二菜または一汁三菜)のバランスの良い食事が勧められる.主菜である肉や魚は,プリン体が中程度の食品に分類されるものが多いので,食べ過ぎないように1回の食事で80~100g程度にする.穀類や野菜,海草,乳製品,卵,きのこなどはプリン体の極めて少ない食品であるため,主食はパンまたはご飯,汁物はみそ汁やスープ,主菜に肉,魚などを利用すると,このような定食1食分にはプリン体が140~180mg含まれる.朝食は,プリン体の少ない豆腐,納豆,卵を主菜にした献立にすると30~40 mgになる.少なめの肉・魚を主菜にしたバランスのとれた定食のような食事を2回,あとの1回は豆腐・納豆,または卵を使った軽めの食事にするとガイドラインで推奨される1日のプリン体摂取量約400mgとなる.ただし,卵はコレステロールが多いので2日に1個くらいとする.また,野菜や海藻は尿が酸性に傾き過ぎるのを防ぎ尿酸を溶かしやすくするため,副菜は野菜,海藻などを中心にすると良い.4.762.211.17 1.38 1.001.74g 2.28g 3.48g以上プリン体摂取量(2日間の平均)0.85g未満1.30g00.511.522.533.544.55図4 プリン体摂取量と発作の再発のリスク