カレントテラピー 35-7 サンプル page 18/32
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カレントテラピー 35-7 サンプル
Current Therapy 2017 Vol.35 No.7 79代替療法687(3 drink以上/日, 37.5g以上)で2.64,とアルコール摂取により痛風の発症が高まることが報告されている.2 適正なエネルギー摂取高尿酸血症,脂質異常症,糖尿病など,生活習慣病すべてに当てはまる項目として,適正エネルギーの摂取が重要である.腹八分目,食べ過ぎない,ということになる.適正なエネルギー量は自分の理想体重(BMI 22)に25~30kcal/kgをかけて求める.身長が175cmの場合,標準体重は67.4kg.これに25~30kcalをかけると,適正エネルギー量は1680~2020kcal/日となる.3 プリン体・果糖を摂り過ぎない1)プリン体『高尿酸血症と痛風の治療ガイドライン第2版』では,1日のプリン体摂取量が400mgを超えないようにする」ことが勧められている1).プリン体だけを制限するのは難しいので,全体のカロリーを控えるのが実際的である.(1)プリン体とは化学構造としてプリン環(図3)をもつ物質を総称してプリン体と呼ぶ.プリン体には,DNA・RNA,ATPなどのヌクレオチド,アデノシンなどのヌクレオシド,そしてプリン塩基,が含まれる.これらのプリン体は,体内で利用された後,最終的に尿酸として腎臓と腸管から排泄される.食品や飲料に含まれるプリン体は,うま味の素になっている.また,プリン体の大部分は核酸に由来しているため,プリン体は,美味しいものや細胞数の多いものに多く含まれることになる.うま味を感じさせるヌクレオチドは呈味性ヌクレオチドと呼ばれるが,イノシン酸,グアニル酸,キサンチル酸の3種類である(図3).プリン体は,エネルギーの元であるATPや遺伝情報を担うDNAに直結している.摂り過ぎは尿酸値を上げる原因になるが,適量のプリン体は,とても効率の良い究極の栄養源でもある.(2)痛風との関連図4に,プリン体摂取量と痛風発作再発のリスクを示した.発作が再発した633名における,無発作時と発作再発前のプリン体摂取量を比較したところ,2日間で0.85g(850mg)未満のプリン体摂取量における痛風発作の再発リスクを1.0とすると,2倍の1.74gで約1.4倍,約3倍で約2.2倍,4倍摂取すると4.8倍,発作再発のリスクが増加した17).この報告からも,日本のガイドラインで勧められている1日約400mgのプリン体摂取量は妥当だと考えられる.(3)プリン体の多い食品表に食品中のプリン体量を示した18).肉類,魚類の多くは中程度(100~200mg)のカテゴリーに属するが,食事療法では,「きわめて多い」「多い」食品に注意するのが良い.プリン体の「きわめて多い」「多い」食品は1回の食事で50g程度にして,食べ過ぎないよ呈味性ヌクレオチド(左からイノシン酸(5′-IMP),グアニル酸(5′-GMP),キサンチル酸(5′-XMP))NHH HOH OHHHNN H2N ONOO3POCH2 O2- 2- 2-NHH HOH OHHHNNNOO3POCH2 ONHHH HOH OHHHNNNOO3POCH2 Oプリン環(プリン)(C5N4H4)61234 9578N NHNN図3プリン環と呈味性ヌクレオチド