カレントテラピー 35-7 サンプル page 16/32
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カレントテラピー 35-7 サンプル
Current Therapy 2017 Vol.35 No.7 77685Ⅰ はじめに血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され,痛風の予備軍と位置づけられる.また,高尿酸血症は高血圧症,糖尿病,慢性腎臓病,メタボリックシンドローム,尿路結石症と合併することが多い.痛風発作や痛風結節,また合併症がある高尿酸血症では,薬物治療が行われる1).高尿酸血症で使用される医薬品には臓器保護作用を有するものもあり,尿酸値を下げるために広く用いられている.一方,痛風や合併症のない無症候性高尿酸血症では,薬物治療を行う前に,背景に潜む生活習慣の改善が勧められる.改善する生活習慣として,食事,飲酒,運動が挙げられる.本稿では,代替療法と位置づけられる食事療法(飲酒を含む)について述べる.Ⅱ 生活習慣と高尿酸血症・痛風高尿酸血症・痛風は,食事,飲酒,運動などと関連する生活習慣病のひとつである.図1に,米国で行われた28,990人の男性を対象とした7.7年間の前向きコホート研究の結果を示した.痛風発症のリスクを上げる生活習慣として,アルコール摂取(1.2倍),肉類摂取(1.5倍),BMI高値(1.2倍)が挙げられている.すなわち,飲酒,プリン体の多い食品の摂取,肥満が,痛風発症のリスク要因となっている.一方,果物摂取(0.7倍),適度な運動をする(0.6倍)生活習慣では,痛風発症のリスクが低下している2).痛風発症と血清尿酸値高値は相関があり,血清尿酸値が高いほど痛風発症のリスクが高い1).また,BMIや体脂肪率が高くなると,それに伴って血清尿酸値も高いことが日本人で報告されている3).* 帝京大学薬学部医薬化学講座臨床分析学研究室教授高尿酸血症・痛風─ 診断と治療の新展開食事療法金子希代子*高尿酸血症・痛風は生活習慣病のひとつであり食事や飲酒習慣と関連することから,本疾患における食事療法は,薬物治療の代替療法と位置づけられる.食事療法の基本は,①飲酒制限,②適正なエネルギー摂取,③プリン体・果糖を摂り過ぎない,④水を多めに飲む,である.飲酒の適量は,アルコール量として20~25 g/日以下,すなわち,ビール500 mL,日本酒180 mL,ウイスキー60mL,ワイン125mL,焼酎90mL程度,のいずれかが勧められる.また,自分の理想体重に合ったエネルギーの摂取,1日あたり400mgを超えない程度のプリン体摂取,甘いジュース類(果糖)を摂り過ぎない,水を1日2,000 mL以上飲む,ことが勧められる.献立の基本は,主食+主菜+副菜とバランスのとれた食事であり,血清尿酸値を下げると報告されている乳製品やビタミンC,ポリフェノールを含む食材を使用することが勧められる.