カレントテラピー 35-6 サンプル page 9/30
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カレントテラピー 35-6 サンプル
12 Current Therapy 2017 Vol.35 No.6514BMIの使用によってユーザーがBMIの使い方を学習し,運動関連電位変化の発生が著明になることから12),脳卒中や神経疾患による運動麻痺の機能回復を目的とした神経リハビリテーション手法としても有用であると目されるようになった.脳卒中が原因で,随意運動や随意筋電図が発現できないほど重度な運動麻痺を呈した場合,前述のとおり「随意運動の企図,運動実行,視覚や体性感覚からのフィードバック」という,神経系内部を流れる一連のシグナルフローが破綻する.このことが長期化することにより,認知系や感覚運動系のさまざまな要素が二次的な機能変性に陥り,学習性不使用による機能増悪状態になる.私たちの考案したBMIリハビリテーションシステムは,頭皮脳波から障害半球体性感覚運動野の興奮性を推定し13),14),そのレベルに応答して電動装具による運動アシストと筋電気刺激を与えることで,脳卒中患者の麻痺手運動をトレーニングするものである.このBMIを用いることで,使用依存的かつタ機能的磁気共鳴画像BEFOREAFTER麻痺側総指伸筋の筋電図6 sZ score11.08.04.750 μV図2BMI による機能回復の例左列:麻痺側(図中右)の手指を随意的に運動しようとしている際の機能的磁気共鳴画像.右列:麻痺側の総指伸筋から誘導した表面筋電図.訓練前(上段)では,損傷半球体性感覚運動野の血流変化は微弱であったのに対して,訓練後(下段)では,同領域ならびに補足運動野の血流変化が顕著化した.表面筋電図に関しても,随意的な手指伸展をしようとしている時間帯(灰色)で顕著な活動増加が認められた.〔*出版元の規約に基づき,参考文献9)から再利用〕MCID50403020100BMI前・麻痺筋への電気刺激・電動装具による介助表面筋電図の検出運動関連脳波の検出運動の企画脳機能の再構成脳機能の再構成BMI後**** **HANDS後(A)BMIリハビリテーション(B)HANDS療法(C)運動機能スコア(FMA U/E)の改善度**:p<0.01図3 BMIリハビリテーションとHANDS療法を組み合わせたクリニカルパスの治療成績A:BMI リハビリテーションの概要.表面筋電図上では随意的な信号変化が認められない重度症例に対して,運動関連脳波を検出し,その信号強度に応じて麻痺筋(総指伸筋)へ機能的電気刺激を与える.電動装具による手指伸展運動の介助も併せて行う.B:HANDS 療法の概要.表面筋電図上で随意的な信号変化が得られるようになった場合には,筋電図強度に比例した電気刺激を同名筋に与えるHANDS 療法へ移行する.HANDS 療法の場合はBMIよりも安定して生体信号を計測することができるほか,小型で完全ウェアラブル仕様のため,日中長時間にわたって装着したまま日常生活を送ることが可能であり,訓練量の飛躍的な増加が望める.C:運動機能スコア(FMA U/E)の改善度.この例のように,症状に応じて神経リハビリテーション手技を段階的に切り替えていくことで,運動機能回復の相加効果が期待できる.