カレントテラピー 35-6 サンプル

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20 Current Therapy 2017 Vol.35 No.6522いということである.Ⅱ Constraint-induced movementtherapy(CIMT)脳損傷後の四肢の機能回復におけるlearned -nonuseの存在がTaubらにより指摘され,従来ともすると健側上肢による代償による能力低下へのアプローチが優先され,機能障害へのアプローチが十分になされていなかったのではないかとの反省に基づきWolfらにより提唱された治療法である3).日中,健側上肢を拘束することによる麻痺側上肢の強制使用を促すいわゆるforced useにさらにshapingを基に訓練士による1対1での訓練を1日6時間行うCIMTに発展した.CIMTの効果機序としては,いわゆるlearned-nonuseの解消ならびにuse -dependent recoveryが主に挙げられている.米国においてThe EXCITE RandomizedClinical Trialが行われ,2006年にその結果がJAMAに発表されている4).CIMTは通常のリハに比し有意に上肢機能の改善を認め,麻痺側上肢の日常での使用頻度も増加を認め,その効果は1年後にも持続されていた.実際の臨床場面では1日6時間もの1対1対応ができる施設は限られ,また麻痺に関しても,長時間の健側の拘束に耐え得る麻痺肢の機能が要求され,適応には限りがあるのが現状である.そこでもう少し時間や頻度を減らしたmodified CIMTも開発されているが,簡便性の問題と適応の限界は存在する.しかしながら,CIMTは,慢性期の片麻痺患者においても,十分な訓練量により日常生活での麻痺手の使用を増やすことが可能であり,機能障害の改善が見込まれるということを示した点で,上肢機能障害へのリハに対して,非常に重要なインパクトを与えたことは言うまでもない.CIMTの出現以降,上肢機能障害に対するアプローチが次々と発表され,上肢機能障害も回復し得るという認識が広まりつつある.なお急性期におけるCIMTでは通常のリハビリテーションとの間に有意差は認めず,むしろhigh intensity CIMTでは機能的回復は悪かったという報告もあるので注意が必要である5).Ⅲ 電気刺激療法従来より,筋再教育目的に低周波刺激は用いられており,適切な量の電気刺激は麻痺肢の回復を促すとされている.『脳卒中治療ガイドライン2015』においても,中等度の麻痺筋(手関節背屈筋,手指伸筋)には電気刺激の使用が勧められている.電気刺激には通常の電気刺激療法のように他動的に電気刺激を行うものと,随意筋電をトリガーとするEMGtriggered neuromuscular electrical stimulation(EMG triggered NMES)と電気刺激を随意筋電によってコントロールすることができるEMG controlledNMESがある6).EMG triggered NMESは麻痺肢の筋活動をトリガーとして一定の電気刺激を行うものである.通常の電気刺激がpassiveな刺激であるのに比し,刺激の開始は麻痺肢の随意収縮によるため,随意性を高めると考えられている.de Kroonらは脳卒中麻痺側上肢に対する電気刺激療法のsystematic reviewを行い,通常の電気刺激を行うよりもEMG triggered NMESのほうが効果が出る可能性が高いと報告している7).Boltonらもmeta -analysisにおけるEMG triggeredNMESの効果を報告している8).Ⅳ Hybrid Assistive NeuromuscularDynamic Stimulation(HANDS)TherapyKhaslavskaiaらは随意収縮単独や電気刺激単独と表 上肢機能障害に対するリハビリテーション・ 麻痺が軽度の患者に対して適応を選べば,非麻痺側上肢を抑制し,生活の中で麻痺側上肢を強制使用させる治療法が強く勧められる(グレードA)・ 中等度の麻痺筋(手関節背屈筋,手指伸筋)には電気刺激の使用が勧められる(グレードB)・ 麻痺が軽度から中等度の患者に対して特定の動作の反復を伴った訓練を行うことが勧められる(グレードB)・ 反復経頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電気刺激は考慮しても良いが,患者の選択,安全面に注意を要する(グレードC1)