カレントテラピー 35-4 サンプル page 7/28
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カレントテラピー 35-4 サンプル
10 Current Therapy 2017 Vol.35 No.4316いる(図5).臨床的にもプラーク超音波輝度は血清HDL 値や炎症マーカー濃度とも関連しており12),低輝度プラークは同側虚血性脳血管障害発症の独立した危険因子であることが示されている13).Guptaらは,無症候性頸動脈狭窄例において,プラーク超音波輝度と脳梗塞発症リスクの関係を検討した7研究7,557例のメタ解析により,低輝度プラークでは等輝度プラークに比して脳梗塞発症リスクが2.3倍高くなると報告している14).また,心筋梗塞についても,女性において低輝度プラークの存在が心筋梗塞発症のリスクとなることが示されている11).頸動脈プラーク超音波輝度の定量的評価法として,B-mode画像を用いたgray scale median(GSM)15)や,integrated backscatter解析(IBS analysis)12)を用いた方法がある(図6).しかしながら,プラークの超音波輝度の段階的・定量的評価と病理組織との対比は,必ずしも密接な相関が得られている訳ではなく,それぞれの評価法の再現性も高くはない16).3 潰瘍形成頸動脈プラーク表面の壁不整や潰瘍形成は,線維性被膜の破綻や粥腫内血腫,脂質コア,血管新生の増生などと関連し,動脈原性塞栓源として脳梗塞や一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks:TIA)発症の原因となる(図7).頸動脈超音波によるプラーク潰瘍形成の診断について,従来は①表面から2 mm 以上の陥凹がある,②プラークの底面がB-modeで観察される,③カラードプラで陥凹内に血流の侵入が認められる,と定義されてきた.近年では,そのサイズにかかわらずプラーク表面の空洞形成が認められ,B-modeで隣接するプA.心筋梗塞研究危険率[95%信頼区間] nARICCHSRotterdam StudyMDCSCAPS1.131.151.191.231.11[1.10 -1.17][1.10 -1.22][1.12 -1.26][1.14 -1.33][1.05 -1.17]13,2044,4762,2675,1635,052TOTAL 1.15 [1.12 -1.17] 30,1620.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4研究危険率[95%信頼区間] nCHSARICRotterdam StudyMDCSCAPS1.171.211.171.201.10[1.12 -1.23][1.17 -1.25][1.09 -1.26][1.08 -1.33][1.02 -1.19]4,47614,1655,4795,1635,052TOTAL 1.18 [1.16 -1.21] 34,335B.脳卒中0.9 1 1.1 1.2 1.4図2CCA-IMT と心血管疾患発症の相対危険度CCA -IMTが0.1mm肥厚した場合の心筋梗塞(A)および脳卒中(B)の相対危険度(年齢・性別で補正).ARIC:Atherosclerosis Risk inC o m m u n i t i e s S t u d y , C H S:Cardiovascular Health Study,MDCS:Malmo Diet and CancerStudy Subcohort, CAPS:CarotidAtherosclerosis Progression Study〔参考文献3)より一部改変して引用〕総頸動脈Common CarotidArtery(CCA)分岐部Bifurcation(BIF)内頸動脈Internal CarotidArtery(ICA)外頸動脈近位壁(Near wall)遠位壁(Far wall)a bcde f図3 IMT の計測とプラークa:max IMTとして総頸動脈遠位壁の最大値(プラークを含む)を必ず計測する.b or e:分岐部 max IMTc or f:内頸動脈 max IMT