カレントテラピー 35-4 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.4 9315いる(図2).わが国においても,Kitamuraらは60~74歳の健康男性において,総頸動脈および内頸動脈のIMT肥厚が脳卒中発症の危険因子であり,総頸動脈IMT≧1.07mmかつ内頸動脈IMT≧1.93mmの肥厚を有する例では,脳卒中発症リスクが高まることを示している4).また,Kitagawaらは心血管疾患の危険因子を有して治療中の患者においても,頸動脈IMTが1.20mm以上であれば0.88mm以下の場合に比して心血管疾患発症のリスクが5.1倍高くなると報告している5).IMTの経時的変化についても,総頸動脈IMT肥厚の進展度は脳卒中発症の独立した危険因子である6).これらの結果より,IMTの計測は,動脈硬化の指標として多くの研究に用いられている.IMTの計測方法・計測部位については種々の研究で異なるが,総頸動脈で数カ所計測した平均値を用いている研究が多い.本邦では日本脳神経超音波学会によるガイドラインで,総頸動脈遠位壁におけるIMTの最大値(max IMT)を必須項目として評価することを推奨している(図3)7).Polakらは頸動脈IMT計測を古典的動脈硬化危険因子評価(フラミンガムリスクスコア)に加えることの有用性について検討し,総頸動脈よりも内頸動脈起始部のIMT肥厚を用いたほうが心血管イベント発症の予測精度が高くなることを示した8).これは,総頸動脈IMTがびまん性の動脈壁肥厚を示すのに対して,内頸動脈起始部IMTは局所のプラークの指標になるためと考えられる.一方で,計測値の再現性は総頸動脈で高く,目的に応じて両部位でのIMT計測を使い分ける必要がある.Ⅲ 頸動脈プラークの評価頸動脈プラークは血管壁の限局した隆起性病変と定義されており,動脈壁のびまん性変化であるIMT肥厚よりも進行した粥状動脈硬化性病変である.頸動脈プラークの評価においては,その存在や大きさなどの量的評価のみではなく,質的評価が不安定プラークの検出にとって重要である.不安定プラークとは,病理学的には内部に脂質や粥腫内出血を多く含み,マクロファージやリンパ球などの炎症性細胞が多く浸潤しており,線維性被膜の菲薄化によりプラーク破綻をきたしたもの,あるいは破綻をきたしやすいものと定義される9()図4).頸動脈超音波検査では,プラークの量的および質的評価が可能であり,近年では特にプラーク性状と脳梗塞を含む心血管疾患発症リスクとの関係が注目されている.1 プラークの有無と量的評価頸動脈プラークを有する例では,有さない例よりも心血管疾患発症のリスクが高い.Rotterdam study10)では周囲のIMTよりも1.5倍以上の厚みをもつ隆起性病変をプラークと定義し,その存在が脳卒中および脳梗塞発症リスクと関連することが示された.また,Tromso studyでは頸動脈プラークの面積を計測し,その増大が心筋梗塞発症の独立した危険因子であることが報告されている11).頸動脈超音波によるIMT計測の研究では,プラークを含めた最大厚を計測している場合も多いため(図3),プラークの大きさと脳梗塞や心血管疾患との関係については,前述のIMTと同様であると考えられる.2 超音波輝度頸動脈超音波検査におけるプラークの超音波輝度(echogenicity)が,その病理所見と関係するということが90年代より報告されており,一般に低輝度を示すものはプラーク内出血や脂質,炎症性細胞浸潤に富んだ不安定プラーク,等~高輝度を示すものは線維性組織や石灰化成分が多い安定プラークと考えられて内中膜外膜内中膜外膜血管内腔図1 内中膜複合体厚(Intima-media thickness:IMT)外側の輝度の高い層が外膜に,内側の比較的輝度の低い部分が内膜中膜を合わせた部分(内膜中膜複合体)に相当する.総頸動脈遠位壁における内中膜複合体の最も厚い部分(矢印)をmax IMTとして計測する.