カレントテラピー 35-4 サンプル

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8 Current Therapy 2017 Vol.35 No.4314Ⅰ はじめに頸動脈の粥状動脈硬化病変(プラーク)の存在は,虚血性脳血管障害の発症だけでなく,全身の動脈硬化の指標として心血管疾患の発症リスクの増大とも関連することが知られている.また,頸動脈プラークの質的な評価による不安定プラークの検出も,将来的な脳梗塞発症リスクに関係することが示唆されている.頸動脈超音波は,低侵襲かつ簡便に検査を行え,動脈硬化の初期段階である内中膜肥厚やプラークの評価,より進行した頸動脈狭窄の診断までが可能である.近年では特に脳梗塞発症リスクの高い不安定プラークの検出について多くの知見が得られてきた.本稿では,心血管イベント発症予防を目的とした治療戦略においてきわめて重要な役割を果たす,頸動脈プラークの超音波診断について述べる.Ⅱ 内中膜肥厚頸動脈超音波を用いて頸動脈を描出した際に,血管の外膜と内腔の間に層状にみえる部分が内中膜複合体で,この厚みを内中膜複合体厚(intima -mediathickness:IMT)と呼ぶ(図1).I MTは病理組織との対比により動脈壁の内膜および中膜構造に一致することが知られており,その肥厚は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患発症リスクを予測する独立した因子であることが明らかとなっている1),2).IMT肥厚と心血管疾患発症リスクのメタ解析3)では,総頸動脈のIMTが0.1mm厚くなると心筋梗塞の発症率は15%,脳卒中の発症率は18%,それぞれ増大すると報告されて* 国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科医長頸動脈プラークの診断と治療の動向─心血管イベント発症予防を目指した治療戦略頸動脈プラークの超音波診断―不安定プラークの検出を含めて―山上 宏*頸動脈超音波検査は低侵襲かつ簡便に施行可能であり,頸動脈内中膜肥厚の計測や粥状動脈硬化病変(プラーク)の診断は,全身の動脈硬化の指標としてだけでなく,将来の脳梗塞を含めた心血管疾患発症のリスク予測に有用である.近年では,これらの量的な評価に加えて,プラークの形態や質的な評価によってリスクの高い不安定プラークを検出し,血行再建術や内科治療の強化により脳梗塞の発症を予防する試みがなされている.頸動脈超音波検査において,低輝度プラーク,潰瘍形成,可動性病変などは,神経症状の出現に関連し,病理学的にも脂質や粥腫内血腫,線維性被膜の破綻,炎症細胞の浸潤などを特徴とする不安定プラークを示唆する所見であることが明らかになってきた.さらに超音波造影剤を用いたプラーク内血管新生の描出も注目されている.本稿では,これらの不安定プラークの検出を含めて,頸動脈プラークの超音波診断について概説した.