カレントテラピー 35-4 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.4 7313頸動脈プラークの診断と治療の動向― 心血管イベント発症予防を目指した治療戦略―企画東京女子医科大学神経内科学教授北川一夫頸動脈病変は脳梗塞の責任血管病変として重要なうえに全身動脈硬化の指標として心筋梗塞を含む心血管合併症の発症予測因子として有用なことが知られている.また超音波検査を用いた非侵襲的な観察が可能なため,患者のみならず健常人においても経時的な測定が可能なため動脈硬化の発症,進展,退縮の臨床的な研究に適している.脳梗塞の治療では近年脳血管内治療が進歩し,頸動脈狭窄病変はステント留置術のよい適応となってきた.本稿では,頸動脈病変を脳卒中臨床の立場からと動脈硬化研究の立場からそれぞれの専門領域のエクスパートの先生方に最近の話題を解説していただいた.頸動脈病変の観察は超音波検査が主体であるが,血行再建術を念頭に置いた詳細な狭窄率,プラーク性状,活動性炎症の評価にはMRI,ポジトロン断層法(PET),内視鏡,CT造影検査など,各種検査が駆使される.またハイリスク頸動脈病変の評価には,同部位からの血栓塞栓症の飛来を評価する経頭蓋超音波ドプラ検査による微小塞栓子の検出,脳MRI検査による無症候性脳梗塞の評価,脳血流単一光子放射断層撮影(SPECT)検査またはPET検査による脳血行動態の評価等が必要となる.さらに動脈硬化の臨床的観察,研究の手法として頸動脈病変は長期間にわたる経時的な観察が可能なためコホート研究,介入試験の指標としてよく用いられている.スタチンは心血管イベント発症抑制効果とともに頸動脈アテロームプラークの進展抑制や退縮効果が示され,抗動脈硬化作用を有することが結論づけられている.動脈硬化に関わる新規なバイオマーカー,遺伝子多型,microRNA等の検索に加え,スタチン以外の薬剤の抗動脈硬化作用が頸動脈プラークを指標として精力的に検討されている.頸動脈病変に関する臨床的研究はますます盛んになっており,その研究成果から今後効果的な動脈硬化抑制手段,さらには心血管イベント抑制手段,対策が確立されることが期待される.エディトリアル