カレントテラピー 35-4 サンプル

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56 Current Therapy 2017 Vol.35 No.4362と血管内治療による頸動脈ステント留置術(carotidartery stenting:CAS)である.1980年代から2000年代前半にかけて行われた,無症候性頸動脈狭窄症を対象とした内科治療群と頸動脈内膜剥離術群(CEA群)の同側脳卒中発症率をみてみると,無症候性頸動脈狭窄症に対する外科治療であるCEA群が一定以上の狭窄率の病変において,内科治療群よりも脳卒中予防効果に優れていると報告された.しかし,近年は,動脈硬化危険因子の管理と抗血小板薬を中心とした内科治療の著明な進歩や,CASの進歩と普及により,頸動脈狭窄症の治療選択は多様化してきている.1 無症候性頸動脈狭窄症に対する内科治療と外科治療の比較試験無症候性頸動脈狭窄症に対する代表的なランダム化比較試験(RCT)として,The AsymptomaticCarotidAtherosclerosis Study(ACAS)9)とAsymptomaticCarotid Surgery Trial(ACST)10)がある.ACASは,40~79 歳の60%以上の無症候性頸動脈狭窄症1,662例を対象に,CEA群と内科治療群に振り分けて比較した試験である.5年間の同側脳卒中はCEA群が5.1%,内科治療群が11.0%と有意にCEA群の成績が良好であった.しかしながら,絶対危険率の低下は5.9%と低く,女性や対側頸動脈閉塞例でのCEAの有効性は示せなかった.ACSTは,40~91歳の無症候性もしくは,症候後半年以上経過した60%以上狭窄を有する3,120例を対象に,迅速CEA群と内科治療でしばらく経過観察を行い,必要時に手術を行う待機的CEA群に振り分けて比較した試験である.5年間の脳卒中または死亡の頻度は迅速CEA群で6.4%,待機的CEA群で11.8%と有意に迅速CEA群で低かった.これらの結果からは,無症候性頸動脈高度狭窄に対してCEAは有効であると考えられるが,内科治療の進歩により,2010年のOxford VascularStudy(OXVASC)7)では,積極的内科治療における同側脳卒中発症率は年間0.34%とACASやACSTにおけるCEA群の同側脳卒中発症率よりも明らかに低下しているため,無症候性頸動脈狭窄症に対するCEAの適応は慎重に検討する必要がある.『脳卒中治療ガイドライン2015』11)においても,無症候性頸動脈狭窄症に対しては,高度狭窄においても内科治療の効果を十分検討したうえで,外科治療を考慮することが勧められている.2 外科治療:CEAとCASCASは,末梢塞栓を予防するバルーンやフィルターなどのデバイスの開発やステントなどの改良により治療成績が向上し,近年のRCTでは,CEAに対する非劣性が証明されるようになってきた.症候性頸動脈狭窄症と無症候性頸動脈狭窄症が混在したRCTとして,Stenting and Angioplasty with Protection inPatients at High Risk for Endarterectomy(SAPPHIRE試験)12)とCarotid Revascularization Endarterectomyversus Stent Trial(CREST試験)13)がある.SAPPHIRE試験は,CEAの危険因子をもつ50%以上の症候性頸動脈狭窄症,80%以上の無症候性頸動脈狭窄症を対象としたRCTであり,1年間の同側脳卒中は,CAS群で4.2%,CEA群で4.8%,死亡を含む心血管イベントの発生率がCAS群で12.2%,CEA群で20.1%とCAS群で低かった.この試験結果からCEA高危険群におけるCASの非劣性が示された.その後に発表されたCREST試験では,CEAの危険因子をもたない50%以上の症候性頸動脈狭窄症,60%以上の無症候性頸動脈狭窄症を対象に行われた.本試験では,CAS例ではprotection deviceの使用が義務づけられ,CEA,CASともに術者の適格条件が定められた.一次エンドポイント(周術期の脳卒中,死亡,心筋梗塞および振り分け後4年以内の同側の脳卒中)は,CAS群7.2%,CEA群6.8%で両群ともに有意な差はなかった.この結果よりCEA低リスク群に対するCASのCEAに対する非劣性が証明された.これらの結果を踏まえ,『脳卒中治療ガイドライン2015』においても,CEAの危険因子〔心臓疾患(うっ血性心不全,冠動脈疾患,開胸手術が必要など),重篤な呼吸器疾患,対側頸動脈閉塞,対側喉頭神経麻痺,頸部直達手術または頸部放射線治療の既往,CEA後再狭窄〕が少なくとも1個以上該当する場合には,CASを行うことが勧められている.これまで無症候性頸動脈狭窄症において,内科治療群とCASを比較検討したRCTや無症候性頸動脈狭窄症のみを対象としたCASとCEAを直接比較した試験はなかった.現在,Carotid Revascularization and Medical Man