カレントテラピー 35-4 サンプル

カレントテラピー 35-4 サンプル page 15/28

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 35-4 サンプル の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 35-4 サンプル

36 Current Therapy 2017 Vol.35 No.4342できないことが示されている12),13).そのような背景もあり,循環器疾患発症の古典的危険因子に,それらと独立して心血管イベント発症を予測することが報告14),15)されている頸動脈IMTに係る指標を危険度予測モデルに加えることにより,循環器疾患発症の予測能が改善するか否かについて最近の複数の研究において検討されている.循環器疾患予測モデルにおける頸動脈IMTの予測能改善効果に関する主な研究結果を表3にまとめた.私どもも参加しているThe USE Intima -MediaThickness(USE -IMT)研究は,国際共同研究による統合分析(Pooled analysis)であり,Den Ruijterらは,USE-IMTの対象者のうち,14コホート,45,828人(平均年齢:58歳)を対象として,年齢,血圧値,血糖値,血中脂質,喫煙歴といった古典的危険因子で構成されるFRSを用いた危険度予測モデルと,FRSに総頸動脈IMTに係る指標を加えたモデルにおける,循環器疾患発症の予測能の比較を行っている16).本研究では,中央値11年間の追跡期間中に心筋梗塞・脳卒中を発症した者は4,007例であり,十分な症例数を有しているが,両モデルを比較した結果,数字が大きいほど予測能が大きいと判定されるROC曲線に係る統計指標であるC統計量(C -statistics)は,FRS単独のモデルでは0.757(0.749- 0. 764),総頸動脈I MTに係る指標を追加したモデルでは0.759(0.752- 0.766)とほとんど変わらず,さらに純再分類改善度(95%信頼区間)が0.8%(0.1%, 1.6%)であったことからも総頸動脈IMTを追加することによる危険度予測モデルの予測能の改善効果は乏しいと結論付けている.その一方で,Polak Jらは,Framingham OffspringStudyの2,965人を対象に総頸動脈IMTのほかに,内頸動脈のIMTやプラーク等の係る各種指標を測定し,同様の比較を行い,新たな知見を得ている17).すなわち,FRSを用いた危険度予測モデルに総頸動脈IMTに係る指標を加えたモデルでは,循環器疾患発症の予測能の改善効果はUSE -IMT 研究と同様に認められなかったが,内頸動脈や頸動脈プラークに係る指標を加えたモデルでは予測能の改善効果が認められた.特に,純再分類改善度(Net ReclassificationImprovement:NRI)は,内頸動脈IMT に係る指標を加えたモデルでは5.8%(p<0.001),頸動脈プラーク(内頸動脈最大IMT≧1.5mm)に係る指標を加えたモデルでは7.3%(p=0.01)であった.さらに,Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)においても,内頸動脈の最大IMTやプラークは独立した循環器疾患の危険因子であり,FRSモデルに追加することにより循環器疾患発症の予測能の改善を認めている18).すなわち,循環器疾患発症の古典的危険因子に内頸動脈IMTの指標を追加することにより,循環器疾表3 循環器疾患予測モデルにおけるIMT の予測能改善効果研究名国公表年対象者数採用した指標相対危険度予測モデルC統計量純再分類改善度統合判別(95%信頼区間) 改善度基本モデルIMTを追加MESA18) 米国2013 6,562内頸動脈IMT 1.21(1.13-1.30)注1)FRS変化量0.0068 0.029 0.0062内頸動脈IMT1.5mm1.48(1.21-1.80) 変化量0.0053 0.032 0.0022FraminghamOffspringStudy17)米国2011 2,965総頸動脈IMT 1.13(1.02-1.24)注2) FRS 0.748 0.751 0.004 ─内頸動脈IMT 1.21(1.13-1.29)注2) 0.748 0.758 0.058 ─内頸動脈IMT1.5mm1.92(1.49-2.47) 0.748 0.762 0.073 ─USE-IMT16) 統合分析2012 45,828 総頸動脈IMT 1.09(1.07-1.12)注3) FRS 0.757 0.759 0.008 0.0024注1):1 mm 増加あたりの相対危険度注2):1標準偏差増加あたりの相対危険度注3):0 . 1 mm 増加あたりの相対危険度IMT:FRS:Framingham Risk Score,純再分類改善度:Net Reclassification Improvement(NRI),統合判別改善度:Integrated DiscriminationImprovement(IDI)