カレントテラピー 35-3 サンプル

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10 Current Therapy 2017 Vol.35 No.3210ず,さらにプラセボと比較しても有効性は認められなかった.サブグループ解析において,心停止の目撃有無により治療効果に不均一性が認められた(交互作用p=0.05).Bystanderの目撃がある症例(1,934例)ではアミオダロン群とリドカイン群においてプラセボと比較して有意に高い生存率との関連が認められた(27.7%,27.8%,22.7%).一方,目撃のない症例では関連性は得られなかった.有害事象の解析では,リドカイン群とプラセボ群と比較してアミオダロン群においてより多くの症例で一時的ペーシングを要した.3 本研究から読み取れることARREST試験, ALIVE試験では,アミオダロンはリドカインに比して生存入院率が高いことが示されていたが,本研究では心停止患者に対する抗不整脈薬の役割に疑問符が生じる結果となった.これには心停止患者の心拍再開を左右する循環虚脱時間の関与がある.循環虚脱時間の目安として入電から薬剤投与までの時間を検討しているが,EMSによる目撃のある心停止患者で平均16分,目撃のない心停止患者においては平均19分を要した.Reynoldsらは7),心肺蘇生(cardio pulmonary resuscitation:CPR)が16分を超えると神経学的転帰良好群が低下すると報告している.患者が心停止の3段階モデルにおける「代謝段階」(>10分)8)に陥ってしまうと,全身の虚血に伴う多臓器不全によりCPRと除細動はもはや無効となり,抗不整脈薬の役割はさらに無意味なものとなってしまう.サブ解析で,対象をBystanderの目撃がある患者群に限定すると,アミオダロンとリドカインはプラセボよりも生存率を上昇させた.抗不整脈薬投与までの時間をいかに短縮できるかが,循アミオダロン群(974例)リドカイン群(993例)プラセボ群(1,059例)p value年齢63.7歳63.0歳62.7歳入電から初回投薬までの時間EMSの目撃なし患者群19.3分19.3分19.3分0.81EMSの目撃あり患者群11.7分12.1分12.1分0.91入電からエピネフリン投与までの時間16.1分15.8分16.2分0.35使用シリンジ数< 0.0013 本64.2% 60.6% 72.1%2 本33.8% 37.5% 26.0%1 本2.0% 1.9% 1.9%ショック施行回数試験薬投与前3 回(2~4) 3 回(2~4) 3 回(2~4) 0.73試験薬投与後2 回(1~4) 2 回(1~3) 3 回(1~6) < 0.001有害事象24 時間以内の体外ペーシング4.9% 3.2% 2.7% 0.02退院前の死亡75.3% 75.7% 78.8% 0.16表1患者背景〔参考文献6)より引用〕アミオダロン群(974例)リドカイン群(993例)プラセボ群(1,059例)絶対リスク差(95% CI)[p value]アミオダロンvs. プラセボリドカインvs. プラセボアミオダロンvs. リドカイン生存退院237 例(24.4%)233 例(23.7%)222 例(21.0%)3.2 ポイント(- 0.4~7.0)[p = 0.08]2.6 ポイント(- 1.0~6.3)[p = 0.16]0.7 ポイント(- 3.2~4.7)[p = 0.70]神経学的予後良好18.8% 17.5% 16.6% 2.2 ポイント(- 1.1~5.6)[p = 0.19]0.9 ポイント(- 2.4~4.2)[p = 0.59]1.3 ポイント(- 2.1~4.8)[p = 0.44]表2アウトカム〔参考文献6)より引用〕