カレントテラピー 35-3 サンプル

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72 Current Therapy 2017 Vol.35 No.3272性に関してはワルファリンと同等との報告もあるが,安全性に関してはDOACにより差異があった(表4)15).85歳以上の超高齢者におけるDOACの有効性,安全性,適正使用についてはまだエビデンスが不足しているため,今後の検討課題である.Ⅵ 心房細動を有するPCI施行患者における抗血小板薬とDOACの併用最近,PIONEER-AF試験という心房細動を有する冠動脈ステント留置患者2,124例を対象に,DAPT+DOACの有効性・安全性を評価する臨床試験結果が報告された16).低用量リバーロキサバン(15mg 1日1回)+P 2Y12阻害薬(12カ月,90%以上がクロピドグレル),超低用量リバーロキサバン(2.5mg 1日2回)+DAPT(1カ月,6カ月,12カ月),ワルファリン+DAPT(1カ月,6カ月,12カ月)の3群に無作為割り付けを行い,臨床的に明らかな出血,心血管死・心筋梗塞・脳卒中について評価が行われた.臨床的に明らかな出血は,ワルファリン群よりもリバーロキサバン群(2群とも)で有意に少なかった.心血管死・心筋梗塞・脳卒中は3群で有意差を認めなかった(表5).結果を解釈するうえで,患者像は平均年齢70歳(75歳以上3割程度),平均CCr 75~80mL/分,ステントは薬剤溶出性ステント65~66%,ベアメタルステント31~32%であり,高齢者がやや少なく,腎機能は比較的良好で,薬剤溶出性ステント使用率が2/3程度の患者群を対象としていることを念頭に置く必要がある.Ⅶ DOACと待機的除細動X-VeRT試験は非弁膜症性心房細動が48時間以上持続しているか,持続時間不明で待機的除細動(薬物,電気的)が予定されている1,504例を対象に,ワルファリン群とリバーロキサバン群とに無作為に割り付けを行い,脳卒中を含む血栓塞栓症イベントおよび重大な出血について,前向きに比較検討したトライアルであり,注目に値する17).除細動のプロトコールは,除細動前に十分な抗凝固療法が行われている,あるいは経食道心エコー実施予定の有無によって,早期施行群(施行前にリバーロキサバンを1~5日間もしくは通常のワルファリンを投与し,施行後は6週間継続),遅延施行群(施行前にリバーロキサバンもしくはワルファリンを3~8週間投与し,施行後は6週間継続)の2群に分けられた.プロトコール通りに除細動が行われた割合,除細動までに要した期間は,遅延施行群では明らかにリバーロキサバンが優れていた.また,イベント発症率は差がなかったことから,除細動施行前後におけるリバーロキサバン投与はワルファリンに代替し得る有用な方法と考えられる.使用された用量は20mg(CCr 30~49mL/分では15mg)であるが,日本人での承認用量である15mg(CCr 30~49mL/分では10mg)で同様の結果が得られるかどうかは,今後の前向きな試験での検証が必要であろう.臨床的に明らかな出血心血管死・心筋梗塞・脳卒中低用量リバーロキサバン 15mg1日1回+P2Y12阻害薬(90%以上がクロピドグレル)16.8%ワルファリン群に対するハザード比 0.5995%CI 0.47~0.76p<0.0016.5%超低用量リバーロキサバン2.5mg 1日2回+DAPT18.0%ワルファリン群に対するハザード比 0.6395%CI 0.50~0.80p<0.0015.6%ワルファリン(INR 2~3, TTR 65%)+DAPT26.7% 6.0% 表5PIONEER-AF試験結果