カレントテラピー 35-3 サンプル

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70 Current Therapy 2017 Vol.35 No.3270Ⅲ 各DOACの特徴1 ダビガトラン腎排泄率80%とDOACのなかでは腎排泄率が高い.投与前,投与中の腎機能は定期的に確認する必要がある.ダビガトランに減量基準は設けられていないが(表3),クレアチニンクリアランス(creatinine clearance:CCr)30~50mL/分,P糖タンパク阻害薬の内服,70歳以上,消化管出血の既往のうちいずれか該当する場合は減量投与する.副作用として消化器症状が多い.また,ワルファリンナイーブ(ビタミンK拮抗薬を服用したことのない患者)を対象としたダビガトラン投与試験では,ワルファリン服用経験の有無はダビガトラン110mg 1日2回,150mg 1日2回いずれの用量においてもワルファリンに対する優位性に影響を与えないとの結果から,腎機能がよければまずDOACを選択する根拠となっている9).2 リバーロキサバンJ-ROCKET AFで日本人に合った低用量(欧米は20mg,本邦は15mg)でのワルファリンとの比較で安全性の非劣性を確認している10).重大な出血または重大ではないが臨床的に問題となる出血が,ワルファリンと同等であった.頭蓋内出血はワルファリンの半分で,上部あるいは下部消化管出血が少なかった.3 アピキサバン腎排泄率25%とDOACのなかで最も腎排泄率の低い薬剤である.高齢者で腎機能が低下した症例で使いやすいが,減量基準における有効性,安全性のエビデンスに乏しい.今後,高齢者における市販後臨床研究J -ELDAF試験などの結果が待たれるところである.4 エドキサバンもともと整形外科領域で深部静脈血栓症予防薬として使用されてきたが,2014年12月より非弁膜症性心房細動にも使用できるようになった.TTRが他の試験のなかでも最も高いワルファリン群と比較して,有効性は非劣性,安全性は優越性が認められた.また,高齢者,腎機能低下例,低体重,アスピリン併用など出血リスクの高い群のサブ解析でもワルファリンに比較し一貫した安全性が示されている.なお,表中30mgと記載されているのは,標準用量30 mg(調整用量15mg)群のことであり,この用量は承認されていない.現在,臨床上使われている30mgは,60mg群の調整用量であり,そのデータは60mg群に含まれている.この点は,よく誤解されるポイントでもあるので注意が必要である.Ⅳ DOACと消化管出血欧米でのデータではあるが,DOACは消化管以外の出血,特に頭蓋内出血を減少させ,このことがワルファリンと比較してDOACが大出血を減少させた大きな理由である.しかしながら,ダビガトラン150mg1日2回,エドキサバン60mg 1日1回,リバーロキサダビガトラン(RE-LY)リバーロキサバン(ROCKET AF,J-ROCKET AF)アピキサバン(ARISTOTLE)エドキサバン(ENGAGE)減量基準基準なしCCrが30~49mL/分の場合以下の2つ以上該当する場合減量・体重60kg未満・80歳以上・Cr1.5以上以下の1つでも該当する場合減量・体重60kg未満・ CCr30~50mL/分・ P糖タンパク阻害薬使用用量110mgもしくは150mgに割り付け20mg→15mg15mg→10mg5mg→2.5mg 60mg→30mg30mg→15mg減量した患者割合減量なし21%(22%) 4.7% 25%表3各臨床試験のDOAC減量基準( )内はJ-ROCKET AF のデータ.