カレントテラピー 35-3 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.3 69269的優位性は保たれるところがよい点である.表1に各DOACのワルファリンとの臨床成績比較を示す5)~8).表1を参照するに際し,各試験の治療域内時間(timein therapeutic range:TTR)に注目しワルファリンの有利不利を考慮に入れる必要がある(表2).リバーロキサバンのみ日本では用量を変えて単独で試験を行っていること,脳梗塞リスクの高い症例が組み入れられていることも結果を解釈するうえで留意すべき点である(表2).DOACの特徴はビタミンK非依存性で食事制限がなく,血液凝固に関するモニタリングが不要で,効果の発現,消失が速いことである.したがって手術前日まで内服可能だが,特にダビガトランでは腎機能によって調整は必要である.Xa阻害薬はいずれも肝臓での代謝を受けるが,CYP3A4代謝に影響する他の薬剤との併用で血中濃度が増加する可能性がある(エドキサバンではCYP3A4の影響は10%未満).また,ベラパミル,アミオダロンなどP糖タンパク阻害作用のある薬剤併用で,DOACは血中濃度が増加する可能性があるので注意が必要である.ワルファリンと異なりDOACは怠薬によって速やかに効果を失うことから,服薬コンプライアンスは重要である.朝や夕の服薬を忘れたときの対処法,鼻出血が生じたときの対処法などを含め,服薬コンプライアンスを高めるための患者教育をどのように行っていくべきかは今後の課題である.ダビガトラン(RE-LY試験)リバーロキサバン(ROCKETAF試験)アピキサバン(ARISTOTLE試験)エドキサバン(ENGAGE AF-TIMI 48)150mg1日2回110mg1日2回20mg1日1回5mg1日2回60mg1日1回30mg1日1回脳卒中および全身塞栓症優位性1.11%/年VS1.71%/年p<0.001非劣性1.54%/年VS1.71%/年p<0.001非劣性2.1%/年VS2.4%/年p<0.001優位性1.27%/年VS1.60%/年p=0.01非劣性1.18%/年VS1.50%/年p<0.001非劣性1.61%/年VS1.50%/年p=0.005大出血非劣性3.32%/年VS3.57%/年p=0.31優位性2.87%/年VS3.57%/年p=0.003非劣性3.6%/年VS3.4%/年p=0.58優位性4.07%/年VS6.01%/年p<0.001優位性2.75%/年VS3.43%/年p<0.001優位性1.61%/年VS3.43%/年p<0.001脳内出血優位性0.30%/年VS0.74%/年p<0.001優位性0.23%/年VS0.74%/年p<0.001優位性0.5%/年VS0.7%/年p=0.02優位性0.33%/年VS0.80%/年p<0.001優位性0.26%/年VS0.47%/年p<0.001優位性0.16%/年VS0.47%/年p<0.001表1非弁膜症性心房細動に対する各DOACとワルファリンとの臨床成績比較ダビガトラン(RE-LY)リバーロキサバン(ROCKET AF,J-ROCKET AF)アピキサバン(ARISTOTLE)エドキサバン(ENGAGE)症例数18,113 14,269 18,201 21,107試験デザインPROBE 二重盲検二重盲検二重盲検投与方法1日2回1日1回1日2回1日1回CHADS2 1以上2以上1以上2以上CHADS2平均2.1 3.5(3.2) 2.1 2.8ワルファリンナイーブ50% 38%(10%) 43% 37%TTR 64% 58%(65%) 66% 68%表2各臨床試験の患者背景( )内はJ-ROCKET AF のデータ.