カレントテラピー 35-3 サンプル

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48 Current Therapy 2017 Vol.35 No.3248は抗不整脈薬の血中濃度はゼロであり,服用した直後だけ有効血中濃度の上限をオーバーするものの,その後は速やかに消失するからである.初めて行う場合は1日の2 / 3量でもよい.停止効果は若干低くなるが,副作用の発現はまずない.塞栓症のリスクを回避したければ,直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)を一緒に服用する.DOACは即効性の薬物なのですぐに脳塞栓症に対して予防効果を発揮する.Ⅴ Pill-in-the-pocketに使用される薬剤基本方針として,pill-in-the-pocketは器質的心疾患を認めない孤立性の発作性心房細動の停止目的で行う.主にNaチャネル遮断薬(ⅠCまたはⅠA群薬)が用いられる.作用の強い(slow kineticの)Naチャネル遮断薬(ピルシカイニド,フレカイニド,シベンゾリン,プロパフェノンなど)が使用されることが多い.持続性心房細動を停止させるのに用いられるCaチャネル遮断薬(ベプリジル)やKチャネル遮断薬(アミオダロン,ソタロール)は即効性に乏しいので,pill-in-the-pocketには適さない.また,発作性上室頻拍の停止に使用されるCaチャネル遮断薬(ベラパミル,ジルチアゼム)は,心房細動の徐拍化には適するが,除細動効果はほぼないので適さない.器質的心疾患を有するか,心機能が中等度以上に低下した患者では,作用の強いNaチャネル遮断薬を使用すると,心機能の低下に拍車をかけるため,pill -in -the-pocketを行ってはならない.自律神経活動が関与する孤立性の発作性心房細動で,副交感(迷走)神経優位の場合はM2受容体遮断作用のあるNaチャネル遮断薬(シベンゾリン,ジソピラミド),交感神経優位の場合はβ受容体遮断作用を有するNaチャネル遮断薬(プロパフェノン)か,心臓選択性の高いβ遮断薬(ビソプロロール,メトプロロール)を選択すると効果が高まる(図4).β遮断薬はpill -in -the -pocketにも使用できることを知っておくとよい.Pill -in -the -pocketを行う時の実際の投与量(1日量を一度に服用する場合)を経験に基づき表2に示す.Ⅵ 薬剤使用時のピットフォールPill -in -the -pocketを行う場合,発現する可能性のある代表的な副作用について知っておかなければ発作性心房細動持続時間の確認≧48時間他のアプローチの検討<48時間Pill-in-the-pocketアプローチ2時間の経過観察持続抗不整脈薬の追加投与は禁止医療機関受診停止終了図3 抗不整脈薬を用いたpill-in-the-pocketアプローチの実際Pill-in-the-pocketの選択自律神経活動の評価迷走神経活動の関与大交感神経活動の関与大自律神経活動の関与なしシベンゾリンジソピラミド他の治療法・別の薬剤の選択(ベプリジル・アミオダロンなど)プロパフェノンβ遮断薬ピルシカイニドフレカイニド無効図4 自律神経活動を考慮に入れた効果的な抗不整脈薬の選択