カレントテラピー 35-2 サンプル page 9/32
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カレントテラピー 35-2 サンプル
12 Current Therapy 2017 Vol.35 No.2110性化初期の広範なT細胞に一過性に発現する.一方,PD -1は活性化後期のエフェクターT細胞やメモリーT細胞,慢性刺激で“疲弊した”T細胞上に発現する.このような発現の違いによりPD-1とCTLA-4は免疫応答の異なる局面を制御する.主としてCTLA -4はリンパ組織における抗原提示を制御するのに対して,PD -1は炎症局所でキラーT細胞が標的細胞を攻撃する場面で作用する.またPD -1とCTLA -4は免疫寛容を起こす機序が異なる.PD-1は主にcell -intrinsicなメカニズムで作用するのに対して,CTLA -4はむしろcell -extrinsicなメカニズムで作用することが知られている(図3).PD -1は,標的細胞上のPD -L1が直接結合することでTCRを介した抗原特異的なシグナルを減弱させる.一方,CTLA -4は,主に制御性T細胞を介して免疫応答を抑制する.CTLA -4は制御性T細胞上に恒常的に発現して抗原提示細胞上のB7-1やB7-2をトランス- エンドサイトーシスにより取り除くことによって,抗原提示細胞による共刺激能を低下させ,T細胞はアナジーとなる.CTLA-4 PD-1発現細胞活性化T細胞制御性T細胞エフェクターT細胞メモリーT細胞“疲弊した”T細胞発現時期活性化初期活性化後期制御する局面リンパ組織における抗原提示炎症局所における標的細胞の攻撃KOマウスの自己免疫症状早期発症致死的全身性遅発性軽症臓器特異的 阻害剤: 腫瘍モデル 高免疫原性腫瘍: 抗腫瘍効果あり抗腫瘍効果あり 低免疫原性腫瘍: 単剤で効果なし単剤で効果あり 副作用多い少ない表CTLA- 4 とPD- 1 の違い抗原抗原エフェクターT細胞活性化抑制PD-L1PD-1がん細胞ウイルス感染細胞制御性T細胞トランス-エンドサイトーシス抗原提示(共刺激なし)T細胞アナジーPD-1による免疫抑制CTLA-4による免疫抑制CTLA-4B7-1, 2図3PD- 1 とCTLA- 4 による免疫抑制の違いPD - 1 は炎症局所のエフェクターT 細胞に発現する.標的細胞(がんやウイルス感染細胞など)に発現したPD -L 1 がPD - 1に結合すると,PD - 1シグナルはTCR を介した抗原特異的なエフェクターT 細胞の活性化を抑制する.一方,CTLA - 4は,主に制御性T細胞を介して免疫応答を抑制する.CTLA - 4は制御性T細胞上に恒常的に発現して抗原提示細胞上のB7-1やB7-2をトランス- エンドサイトーシスにより取り除くことによって,抗原提示細胞による共刺激能を低下させ,T 細胞はアナジーとなる.