カレントテラピー 35-2 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.2 51免疫チェックポイント阻害療法の基礎と臨床149では,上述の卵巣がんを対象に行われたavelumabを用いた治験では治療効果とBRCA変異に相関はないことが示された15).今後さらにゲノム,トランスクリプトーム解析やプロテオーム解析などいわゆるオミックス解析により,腫瘍免疫に関する新たな発見や検証が活発に行われ,より正確なバイオマーカーの同定に繋がることが期待されている.2 “Value”ableな治療薬となるために先日,日本でのニボルマブの薬価が大幅に減額されるとの報道があり,さらに別のPD -1経路阻害薬(ペンブロリズマブやatezolizumab)も続々とFDAにてさまざまながん種で適応承認されはじめており,これからは企業間競争も加速していくことを期待したい.しかしながら,PD -1経路阻害薬などの新規抗体薬の薬価は減額したとはいえ依然として高額であることから,がん治療全体の医療費の高騰化状態は解決していない.さらに今後前述のような併用療法が主流となる可能性もあることから,がん医療費は高額となりかつ高率に副作用が出る可能性も懸念されるため,がん治療薬開発において「Value(benefitto cost):価値」が強調されている.すなわち,これからのよいがん治療は,単に治療効果clinical benefit(efficacy:有効性)だけではなく,toxicity(safety:安全性)やcost(efficiency:費用)についても十分加味し,評価された薬剤が推奨されはじめている(図5)18).今後,適応承認が広がるなかで,改めて患者への身的・経済的負担を軽減できるような医療開発が進むことを期待したい(図5).参考文献1)Jayson GC, Kohn EC, Kitchener HC, et al:Ovarian cancer.Lancet 384:1376-1388, 20142)Hodi FS, Mihm MC, Soiffer RJ, et al:Biologic activity ofcytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4 antibody blockadein previously vaccinated metastatic melanoma and ovariancarcinoma patients. Proc Natl Acad Sci U S A 100:4712-4717, 20033)Hodi FS, Butler M, Oble DA, et al:Immunologic and clinicaleffects of antibody blockade of cytotoxic T lymphocyte-associatedantigen 4 in previously vaccinated cancer patients.Proc Natl Acad Sci U S A 105:3005-3010, 20084)Ishida Y, Agata Y, Shibahara K, et al:Induced expression of医療費対策副作用対策診断・分類手術・生検併用療法Cost ToxicityBenefit免疫チェックポイント阻害薬ChemoTargetSampling性差・妊孕能TRrTR薬価効果バイオマーカー探索毒性がんゲノム解析併用ライフスタイル放射線治療免疫療法T/B免疫ゲノム解析免疫モニタリングValue化学療法分子標的療法手術生検採血TR:translational researchrTR:reverse translational research図5免疫チェックポイント阻害薬の新たな課題〔参考文献11)より引用改変〕