カレントテラピー 35-12 サンプル

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90 Current Therapy 2017 Vol.35 No.121196う根拠はない.Ⅴ スタチンへの追加療法による脳卒中発症?再発抑制脂質低下療法による脳卒中リスク低減効果に関するメタ解析では,食事療法,非スタチンによる脂質低下療法には有効性を見出せていない.しかしながら,スタチンへの追加療法の効果を検討した試験が行われており,その結果を紹介する.わが国で行われたThe Japan EPA Lipid InterventionStudy(JELIS)では,食事療法とスタチン治療を受けている総コレステロールが250mg/dL以上の高コレステロール血症の患者を対象に,対照群と比較してエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)1,800 mg/日併用群での冠動脈イベントの発症率の抑制効果を検討したところ,EPA併用群では冠動脈イベントの発症率を19%低下させた.この試験のサブ解析として,EPAによる脳卒中発症抑制効果が検討された15).その結果では,EPAによる脳卒中発症予防効果は認めなかった(hazard ratio 1.08,95%CI 0.95- 1.22)が,脳卒中の既往のある患者における脳卒中再発予防効果は,発症リスク低減率20%(hazard ratio 0.80,95%CI 0.64- 0.997)と明らかなものであった.小腸コレステロールトランスポーター(輸送タンパク)阻害薬であるエゼチミブは,コレステロール吸収抑制作用により,スタチンとの併用によってLDLコレステロールをさらに低下させる.近年,急性冠動脈症候群の患者(発症10日以内)を対象として,シンバスタチン(40mg/日)単独治療と比較して,シンバスタチン(40mg/日)にエゼチミブ(10mg/日)を併用した際に脳卒中を含む心血管疾患の発症予防効果を検討したIMProved Reduction of Outcomes:Vytorin Efficacy International Trial(IMPROVEIT)が米国で行われた16).その結果,シンバスタチンにエゼチミブを追加することにより,脳卒中を含む主要血管イベントを6.4%(absolute risk reduction 2.0percentage points,hazard ratio 0.936,95%CI 0.89-0.99)低減することが示された.PCSK 9とLDL受容体の結合を阻害することで,LDL受容体の分解を抑え,血中LDLコレステロールの肝細胞内への取り込みを促進し血中LDLコレステロールを低下するPCSK9阻害薬が開発され注目を集めている.PCSK9阻害薬は,心血管イベントの発現リスクが高く,HMG -CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症を適応疾患としている.このPCSK9阻害薬による脳心血管イベント抑制効果に関わるエビデンスはいまだ不十分であるが,脳心血管イベントを有す00.050.10 1 2 3 4 5 6コントロール vs. プラバスタチン0.65 vs. 0.21%/年p=0.0047調整HR 0.33( 95%CI 0.15-0.74)プラバスタチンコントロール累積発症率観察期間(年)図4アテローム血栓性脳梗塞登録時脳卒中病型,血圧高値,糖尿病にて調整.〔参考文献11)より引用〕