カレントテラピー 35-12 サンプル

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82 Current Therapy 2017 Vol.35 No.121188能改善が可能であり,運動野と標的筋を結ぶ経路が強化される可能性が示唆された.これらの知見を基に,10日間の入院で集中的BMIリハを行うプロトコールを確立し,症例シリーズにおいて,運動麻痺の程度を表すFugl-Meyer上肢スコア(FMA-UE)と,日常生活における麻痺側上肢使用の程度を表すMotorActivity Log Amount of Use scoreが改善することを報告した17).従来,片麻痺上肢の機能改善に有効とされてきた治療法に,随意介助型電気刺激装置を用いた機能的電気刺激(HANDS療法)があるが18),手指伸筋の筋電を検知できることが必須となる.一方,BMIリハは筋電が導出できない重度例にも適応可能であり,BMIリハにより手指伸筋の活動が検出可能となれば,HANDS療法を行うことにより一層の改善が得られ,病態像に応じた段階的治療が可能になることを報告した19).これらの成果を基に,パナソニック株式会社エコソリューションズ社との共同研究により,慶應義塾大学が開発した脳波-BMIリハシステムを基に,医療従事者が簡便に操作可能なタッチパネル式可搬型システムの製品化を進め,開発機器の薬機法承認に向けた医師主導治験を実施中である.BMIを用いた脳卒中後上肢麻痺治療の試みはいくつか報告されているが20),われわれの技術は,基礎・臨床研究の蓄積,機器の独自性,産官学連携による強固な開発体制,製品の省スペース性・低コスト性などの点で優位性があると考えている.この領域の開発競争は日々激しさを増しており,実用化までの道筋を一気に進めていく必要がある.Ⅶ BMIリハの実際以下,BMIリハを行うために必要な問診,診察,適応判断のポイントと実際の進め方を解説する.1 問診まず,発症からのリハ治療歴と機能の変化を確認する.さらに,日常生活で麻痺側上肢をどの程度使っているかを聴く.この際,Motor Activity Log(MAL)という標準化された尺度で評価すると,半定量的に使用頻度と治療による変化が把握できる.頭皮脳波BMI運動関連脳波の検出検出状態のフィードバック5010002 4 6 8 1040302010050100電動装具による介助脳波筋電図トレーニング前Frequency[Hz]Time[s]2 4 6 8 10Time[s]Amplitude[μV]Power[μV2]トレーニング後a)システムの概要b)トレーニング前後の脳波および手指伸筋筋電図の変化図1 BMI リハビリテーションシステムa:病巣側の運動感覚野近傍に脳波電極を置き,手指伸展の運動イメージ中の脳波変化(事象関連脱同期:ERD)を記録する.ERD が検出されると電動装具が駆動され,手指が伸展される.b:トレーニング後,運動イメージとともにはっきりとしたERDが出現し,手指伸筋の筋活動が記録されるようになったことを示す.