カレントテラピー 35-11 サンプル page 22/28
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カレントテラピー 35-11 サンプル
74 Current Therapy 2017 Vol.35 No.111084平均追跡期間188.2週で,主要エンドポイント(心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合)に関しての評価が行われた.その結果,主要エンドポイントは有意に抑制されていた(HR, 0.86;95%CI,0.75- 0.97;非劣性p<0.001,優越性p=0.02).更に,心不全入院(HR, 0.67;95%CI,0.52- 0.87)や,心血管死および心不全入院の複合(HR,0.78;95%CI,0.67- 0.91)も有意に抑制されており,2015年発表のEMPA-REG OUTCOME試験の結果と概ね同じ傾向を示した(図2).特に心不全入院に関しては,どちらの研究においても,開始後早期から治療薬群とプラセボ群の間に差がみられており,血糖改善効果を介してではなく,SGLT2阻害薬の利尿効果の可能性が考えられた.ベースラインデータによる層別化の解析では,高齢で, CVD既往やある程度腎機能障害の進展のある,おそらく比較的進展した病態の患者群でのリスク抑制効果が有意に出ており17),研究デザイン上の限界はあるがSGLT2阻害薬の有効な投薬対象を考えるうえで興味深い結果であった.有害事象の発生率には差がなかったが,EMPA -REG OUTCOME試験と異なり,カナグリフロジン群では下肢切断リスクが有意に2倍と(6.3 vs. 3.4 /1,000人年;HR,1.97;95%CI,1.41- 2.75)高かった.下肢切断増加の機序は不明であるが,皮膚障害や脱水による血栓,塞栓症などが関連している可能性はあると推測されており,FDAより下肢切断リスクに関する警告が出ている.今後,ダパグリフロジンでの同様な研究(DECLARE-TIMI 58)も予定されているが,これら2つの研究結果から, CVDハイリスクの2型糖尿病患者における主要エンドポイント抑制効果は,エンパグリフロジンに限られた効果ではなく,SGLT2阻害薬に共通するクラス効果である可能性が考えられた.これを支持するデータとして,最近発表されたのが下記のCVD -REALである.Ⅴ SGLT2阻害薬のリアルワールドにおける研究結果CVD -REALでは,SGLT2阻害薬の心血管リスクを減少させる効果が,実臨床の患者にも認められるか,そして,その効果がSGLT2阻害薬のクラス効果であるか,を検討する国際観察研究である.対象は欧米6カ国で経口血糖降下薬を新規導入した18歳以上の2型糖尿病患者であり,2012年11月~2013年7月の処方箋データより抽出され,SGLT2阻害薬とその他の血糖降下薬を服用した患者が傾向スコアマッチングされ,年齢,性, CVD既往歴,使用薬剤などの患者SGLT2阻害薬優位プラセボ優位0.25 0.5 1.0 2.0CANVAS ProgramEMPA-REG OUTCOMEHazard ratio(95%Cl)心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中心血管死非致死性心筋梗塞非致死性脳卒中心不全による入院心血管死および心不全による入院全死亡アルブミン尿への進展腎症関連の複合図2EMPA-REG OUTCOME studyとCANVAS Programのアウトカム〔2017年開催米国糖尿病学会でのDavid R. Matthews氏スライドより引用改変〕